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記事2002年10月13日 1864号 (2面) 
河合文化庁長官「心のノート」で小学四年生に授業
道徳、家族をテーマに
“家族が君たちの支え”
河合隼雄・文化庁長官による、道徳教材「心のノート」を用いた授業が九月十七日、東京都港区立白金小学校(加藤八郎校長)で行われた。河合長官は文部科学省の「心のノート」作成協力者会議の座長を務めた。授業は四年三組の児童三十三人を対象に四十五分間、家族をテーマに行われたが、児童たちからは「普段は考えていなかった家族について話し合えてよかった」「先生の道徳の授業は楽しかった」などの感想の声が上がった。
 授業前に児童と顔合わせをすませていた河合長官は、大半の児童の名前を覚えており、一人ひとりの児童に「お父さんやお母さんはどうして君にその名前をつけたのだろう」「きょうだいは何人いますか、何人家族ですか」と質問して回り、児童らの家族関係を把握したうえで「家族に腹を立てたことはありますか」との質問を投げかけた。児童たちは「妹の方が悪いのに、お兄さんだからと自分がしかられた」など、これまでに腹を立てたことを口々に挙げた。河合長官は次に「腹を立てることもあるかもしれないが、それでも家族についてどう思っているか」について作文を書かせ、それを発表させた。児童たちからは「それでもお父さん、お母さんは私を大切に思っている」など、家族を肯定的にとらえる発表が相次ぎ、河合長官は「腹を立てることもあるかもしれないが、一緒にいて楽しいのが家族。家族が君たちの支えになっている」と締めくくった。
 授業終了後の会見で河合長官は、この日の授業のねらいについては二つあったとして、一つは家族の在り方が問題になっているいま、実際に児童たちに家族関係を尋ねてみたかった。もう一つは家族のネガティブな側面を児童はどのように心に納めているかを知りたかった、と説明した。「六年生の授業は経験があるが、四年生は初めて。難しい学年だが、いい反応が返ってきた」との感想を残し、同校を後にした。
 白金小学校は現在、道徳教育について全校で取り組んでいる。来年二月には全国小学校道徳教育研究会の研究大会会場校に決定している。

家族をテーマに行われた河合長官の授業

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