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記事2002年10月3日 1862号 (1面) 
私立短大卒生の就職決定率87.2%
日短協調査
前年度やや上回る
雇用環境変化の中、契約採用増
今春の私立短大卒業生の就職決定率(就職志願者数に対する就職決定者数の割合)が前年度をやや上回る八七・二%であることが日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)の実施した調査で明らかになった。
 十二年度卒業生と比較すると〇・七ポイント増。依然として好転の兆しを見せない経済状況、雇用環境の変化にもかかわらず、各短大の就職指導、進路支援の結果、私立短大卒業生の就職状況は堅調に推移しているといえる。
 調査は今年五月、日短協加盟校のうち四百四十二校を対象に調査(今年度新設の二校を除く)。回答は四百十四校から得た。回答率九三・七%。
 平成十三年度私立短大卒業生(第一部・昼間部)のうち就職志望者は全国で七万七千百八人。そのうち就職決定者は六万七千二百七十三人で、就職決定率は八七・二%という結果だった。
 就職決定率を地域別に見てみると、最も高いのが関東と中部。ともに九〇・七%で肩を並べている。最も低いのは北海道の八三・一%となっている。
 就職以外の進路状況については、四年制大学への編入学が七千八百九十五人(七・〇%)、短大専攻科への進学が二千八百八十人(二・八%)、専修・各種学校への入学が三千八百四十四人(三・五%)。このほか一時的な仕事に就いた人が九千三百七十九人(八・六%)いた。
 この調査では雇用環境の変化についても尋ねたが「二―三年前から変化を感じている」という回答が二百九十校(七一・一%)と最も多かった。具体的にどのように変化したかを職種ごとに集計した結果、「契約・臨時等としての採用の増加」が見られるという回答は、保育士・幼稚園教諭で六六・七%、サービス職で五〇・七%、事務職で四一・一%と多かった。一方、「求人件数・採用人数の減少」という回答は、事務職(二三・二%)と栄養士(二〇・六%)でやや目立った。正社員の求人件数・採用人数が減少、またはあまり増えない一方で、職種によっては契約・臨時社員としての採用が確実に増えている、とみることができる。このほかに自由記述では「計画的採用から欠員補充へと移行」「四大生が一般職(短大生の職)にシフト」「四大生の応募可能企業が増加し、採用も四大生にシフト」「厳選採用により質の高い学生が求められている」などの回答が多かった。
 雇用環境の変化が私立短大卒業生にとっては有利に働いているとは言い難い状況の中、今回、八七%を超える高い就職決定率を記録した背景には、各短大の就職支援体制の充実ぶりがある。日短協は先月、札幌市で私立短大の就職指導担当者を対象とした研修会を開いたが、ここでは、就職指導担当教職員の連携による指導の充実、就職希望学生全員に対する個人面接の実施、就職対策講座や就職情報の提供による就職活動支援などに力を入れている事例が報告された。
 各地区の短大ともこうした取り組みを積極的に行っており、これらが学生の就職へと確実に結びついたようだ。


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