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記事2002年11月23日 1872号 (2面) 
平成14年度生徒収容対策に関する調査 日私中高連生徒収容委
公私協の重要性強調
定員充足率80%未満校高校20%台維持
教職員は平成7年以降急減
日本私立中学高等学校連合会の生徒収容対策委員会(上田祐規委員長=鎮西学園理事長)は、このほど「平成十四年度生徒収容対策に関する調査報告」をまとめた。この調査報告書は毎年、私立中学高校における生徒の入学状況等を調査・集計、分析したもの。
 同報告の分析を担当した大坪孝雄・同委員会特別委員(宮崎女子高校長)は、定員充足率が八〇%未満の私立学校はここ数年、高校の場合、全体の二〇%台にとどまっているのに対して、中学校は四〇%台にも上っていることを挙げて、その違いは高校では教育委員会と私立高校側が生徒の受け入れ問題を話し合う公私立高等学校協議会という存在があるためと指摘。公私協を私学の生徒確保のための砦として今後も守ることの重要性を強調。その上で私学は小異を捨て大同団結すれば、平成十八年度から始まる十五歳人口が百二十万人前後で十数年推移する低位安定期も乗りきることができるだろうとした。
 また私見とした上で、昭和四十年に四年制大学を卒業し私立高校教員に就職したベビーブーマーが来年三月、定年退職を迎えることは、人件費依存率等を、低位安定期を乗り切れる水準にまで引き下げる貴重な機会であり、今や終身雇用制の維持は難しくなってきたと指摘した。
 大坪委員の説明によると、出生率の低下から私立高校の生徒数がそれまでの増加傾向から減少に転じた平成三年から四年後の七年からは私立高校職員数が、さらに二年後の九年からは教員数が減少に転じており、生徒減少に見合う水準に向かいつつあると報告した。
 この報告は十一月十八日に東京の私学会館で開かれた全国公私立高等学校協議会私学連合会総会で報告されたもの。
 この日の総会では、生徒の受け入れ問題や私立高校の入学者数に大きな影響を与える公立高校の公費を使った魅力作りなどをめぐって激しい交渉等が続けられている東京などの実情が報告された。
 それによると東京では、公私協は教育委員会(公立高校)と私立高校がさまざまな懸案事項を話し合う貴重な場にも関わらず、生徒の割り振りに終始、都の公立中高一貫校十校設置計画に関しても両者間の協議題とはならず、私学側は「戸惑いを覚えた」と説明した。東京私立中学高等学校協会などが八月に行った進学相談会来場者を対象としたアンケート調査では、公私立高校の学費がもし対等だったら、八八%の人は私立学校に行きたいと回答したことを紹介し、公私協では学費の問題も取り上げてほしいとした。

公立中高一貫への懸念次々と
大阪では私立高専願率低下

 静岡県からは公立中高一貫校ができて多くの志願者を集めたこと、公立志向が今なお根強く残っていること、公立と私立高校の比率を一対一にするとの構想も持ち上がったが、なお実現には課題があることなど厳しい状況が報告された。その一方で公立中高一貫校ができて小学校卒業後の進路が多様化したことから公立小学校でも進路指導が行われ、その中で私立の中高一貫校も紹介されるようになり、よい面もあったことなどが報告された。
 大阪府からは私立高校の専願率が低下を続け厳しい状況にあること、そうした中で授業料軽減補助や奨学金制度の充実等を通じて公私間格差を公立一に対して私立一・五にまで縮めていくことを目指していること、公立中学校での進路指導を改善していくため、私学PR誌の配布などに努めていることなどが報告された。
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