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記事2002年2月13日 号 (2面) 
教養教育、社会人受け入れ 答申案検討
中教審総会で二分科会答申案審議
通信制博士課程創設
基本的に了承、2月21日答申へ



 中央教育審議会(鳥居泰彦会長=慶應義塾学事顧問)は、一月三十日、東京都内の会館で第十四回総会を開き、教育制度分科会がまとめた教養教育に関する答申案「新しい時代における教養教育の在り方について」と、大学分科会がまとめた答申案「大学等における社会人の受け入れの推進方策について」を検討した。答申案に関しては、委員から一部修正を求める意見も出されたが、基本的に了承された。今後は一部修正のうえ、二月二十一日の総会で遠山敦子文部科学大臣に答申として提出される。
 第十四回総会では、教育制度分科会のワーキンググループで座長を務めた木村孟・大学評価・学位授与機構長(中教審副会長)が教養教育をめぐるこれまでの審議の経緯と答申案の概要を説明した。答申案の作成までには、十一月の総会で骨子案に対して指摘された事項や、一般から寄せられた意見なども勘案して、何度も修正を加えたことなどが報告された。その上で答申案の概要が説明されたが、答申案では、新しい時代に求められる教養については、(1)社会のかかわりの中で自己を位置づけ、律していく力、向上心や志を持って生き、より良い新しい時代の創造に向かって行動する力(2)わが国の伝統や文化、歴史等に対する理解を深めるとともに、異文化やその背景にある宗教を理解する資質や態度(3)科学技術の著しい発展や情報化の進展に対応し、論理的に対処する能力や、これらのもたらす功罪両面についての正確な理解力、判断力(4)日常生活を営むための言語技術、論理的思考力や表現力の根源、日本人としてのアイデンティティー、豊かな情緒や感性、すべての知的活動の基盤としての国語の力(5)礼儀・作法など型から入り、身体感覚として身につけられる「修養的教養」の五点を挙げている。そのうえで教養を培う方策に関しては、幼児期から成人まで時系列的に示した点等が特徴だ。
 説明の後、委員からは「自らの人生観、歴史観、生きる目的を持っている人が少ない。知育偏重、富・権力で人を評価する風潮が間違っていることを答申のどこかで書くことが大切」「芸術教育をもっと早い段階から取り入れることを考えてほしい」「青年期の大学生以外の社会人の教養教育についての記載はどこにあるのか」「若者の早期離職が多い。困難にぶつかっても冷静に対応すること、忍耐力について触れてほしい」といった意見が出された。
 一方、大学分科会の答申案に関しては、文部科学省の事務当局が答申案の概要を報告したが、その中で社会人受け入れの具体的方策に関しては、長期履修学生制度の導入、専門大学院一年制コースの制度化、通信制博士課程の制度化が必要なことなどを説明した。これに対して、委員からは社会人が判断材料にできるよう国立大学の教育内容をもっと広く公開すべきではないかといった意見等が出された。

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