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記事2002年2月23日 号 (2面) 
年々増加する単位互換制度
愛知学長懇が教育交流
新年度から県内国公私立45大学で
 単位互換制度を設けている大学は年々増加し、文部科学省の調査では平成十一年度は国公私立大学三百八十八校がこの制度を設けている。他大学での履修を認められた学生は一万三千七百八十七人に上っている(平成十一年度)。組織的に単位互換に取り組んでいる例としては、京都地域の四十二大学・短期大学が参加する「大学コンソーシアム京都」の例が代表的だが、このほど新たに愛知県内の国公私立の四年制大学四十五校が集まり、新年度から単位互換に取り組むことを発表。また、東京では都立四大学が新年度から単位互換を始めると発表するなど、各地で動きが広まっている。
 愛知県内の国公私立大学の学長・理事長らでつくる「愛知学長懇話会」はこのほど、新年度から教育交流・連携事業を実施する、と発表した。同懇話会加盟大学間で単位互換をスタートさせるほか、総合教育プログラム「コーディネート科目」も設ける。
 「愛知学長懇話会」は平成五年十月、県内の大学が国公私立の枠を超えて連携し、学術の向上・発展、愛知の文化発展の基礎エネルギーの蓄積・発信を目的に設立された。県内の四年制大学四十五校が加盟し、各大学の学長、理事長らが参加しているほか、公立大学の設置者として、神田真秋・愛知県知事、松原武久・名古屋市長も特別会員として加わっている。
 今回の教育交流・連携事業は、▽学生の多様な学習ニーズに応える▽県民・市民に広く学習機会を提供し、地域社会の人材養成に寄与する▽各大学の大学改革を支援することがねらい。加盟大学は単位互換に関する包括協定を締結し、各大学の学生がそれぞれ他の大学が指定する授業科目を履修し、単位修得を認める。県内の国公私立の四年制大学が参加するだけに大掛かりな単位互換事業となりそうだ。また、加盟大学の教員などからなる総合教育プログラム「コーディネート科目」を学生および市民を対象に、名古屋工業大学(名古屋市昭和区)で開設する。教授法の研究をはじめとした教育開発事業についても着手。内外の関係機関・団体と連携を図りつつ、研究会を開催する。
 これらの事業の実施は、同懇話会「教育交流・連携専門委員会」(委員長=大沢勝・日本福祉大学総長)が担当。専門委員会の下に教務関係の教職員からなる「作業委員会」(委員長=大貫徹・名古屋工業大学学長補佐・教授)を設け、検討・研究を進めていく。

東京では都立4大学が連携

 東京都立大学、東京都立科学技術大学、東京都立保健科学大学、東京都立短期大学の都立四大学は二月十三日、相互交流を促進し、学生に幅広い分野の学習機会を提供するために、新年度から単位互換制度を実施するとして、協定を締結した。都立四大学は平成十七年度に統合し、新大学を設立することを決めているが、今回の単位互換の実施はその第一歩と位置づけている。この制度を利用できるのは四大学の学部、学科に所属する学生約八千人。学生は各大学が提供する教養科目・専門科目約千科目の中から、自分の履修計画に合わせて希望科目を選び、その大学のキャンパスで講義を受けることができる。受講した大学の講義はそれぞれの所属大学で修得単位として認定される。
 東京都は昨年十一月、「東京都大学改革大綱」を策定。平成十七年度をめどに一つの総合大学として再編・統合する方針を打ち出した。従来の四大学の学部・大学院に加え、大学院先端科学技術研究科を新たに設け、情報、生命、ナノテクノロジーなど、新産業の創出に対応した分野を強化することや、都心キャンパスとして都庁舎を活用したビジネススクールを平成十五年度に開設するとしている。このほか、入学時の募集単位を大くくりにし、二年進級時に専攻分野を選択する方式や柔軟な教育プログラムを提供するコース制など、幅広い進路選択を可能にする多様な履修システムの導入、日野キャンパス(現・都立科学技術大学)に「産学公連携センター」を設置(平成十五年度)し、新産業の創出やベンチャーの育成など、東京の産業活力向上に取り組むなどの改革方針を明らかにしている。新大学の設立準備を進める一方、四大学の連携強化を図るとしていた。
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