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全私学新聞

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記事2002年3月13日 号 (3面) 
教育振興計画、教基法審議に関する要請
全私学連合が中教審に提出
私学の役割視野に
施策や必要な教育投資明確に
 今般、貴審議会においては、文部科学大臣からの諮問を受けて、二十一世紀における我が国の教育目標を明示し、その実現に向けて必要とされる「教育振興基本計画の策定」並びに「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方」について、総合的に検討されることになりました。
 今日の我が国を巡る状況、とりわけ教育問題の深刻な現状を注視するとき、私立学校関係者としては、その審議の帰趨に重大なる関心を払うとともに、強い期待を寄せないわけにはまいりません。
 申し上げるまでもなく、私立学校は、我が国の学校教育制度の中において、それぞれが建学の精神に則った独自の教育方針に基づいて創意工夫を凝らした教育課程・方法等を開発し、個性豊かで多彩な人材を育成するなど、我が国が活力ある国家として発展していくうえで質量共に大きな役割を果たしております。
 これからの教育は、国立・公立・私立の学校それぞれが互いに切磋琢磨しつつ日本の将来を担う人材の育成に励んでこそ、我が国の将来の発展に大きく寄与できるものと確信いたします。
 そのためには、今後の中・長期的な教育の目標や教育改革の基本的方向を示すことと平行して、新時代の教育を担うべき私立学校の役割等も十分視野に入れた施策や必要な教育投資の在り方、国、地方公共団体の役割等を明らかにする必要があります。
 つきましては、今般、貴審議会において「教育振興基本計画の策定」並びに「新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方」について検討審議されるに当たっては、下記の要請事項について十分留意されますよう、日本の学校教育制度の中でその重要な一翼を担う私立学校の総意として、ここに要請いたします。

私学の位置づけ明確に
公財政支出、税制など公的支援

《要請事項》

1.我が国の学校教育制度の中における私立学校の重要な役割を踏まえた、私立学校の位置づけを明確にすること。

2.上記1を踏まえた、国・地方公共団体における公財政支出及び税制の在り方等、公的支援の在り方を再検討すること。

3.次の各分野における検討課題に十分留意した上、検討審議を進められること。

公立幼の民営化を
支援体制の整備

【幼児教育分野】

(1)公立幼稚園の民営化を検討する
 設置主体の違いによる公費投入の整合性を図るために、幼児教育機関の規模、教員の待遇、保護者負担、教育と養護の在り方を総合的に検討し、公立幼稚園の民営化を検討すべきである。
(2)幼稚園教育の新しい機能として近年付加された、預かり保育・地域の子育てセンターとしての役割に対する制度を整える
 教育の費用負担と子育て支援の費用負担の在り方・幼稚園における養護のあり方を検討すべきである。
(3)子育てを通して親が人として成長していくことを支援する体制を整備する
 子育てを通して親が人間として成長し、社会に貢献していくことに対して、幼稚園が果たす役割を検討すべきである。
(4)教師のインターン制の検討
 生活体験の不足した新任教員に対し、子どもと共に生活する場を提供して、教師としての資質を高める施策を検討すべきである。

国公私間教育費負担の平準化

【初等中等教育分野】

(1)国立・公立・私立学校間での教育費負担の平準化を図るべきこと
 そのためには、「学校法人に対する私学助成の充実」と共に、「私立学校に学ぶ児童生徒やその父母の学費負担を軽減するための措置(授業料軽減補助等)」、及び「奨学金の拡大」などを実施する必要がある。
(2)地方教育行財政に対する国の調整及び指導について
 特に今後の人口動態の変化に応じて策定される各都道府県の教育計画や生徒等の収容計画等については、私立学校の存在の意義やこれまでの実績に配慮したものとなるよう、国としての基準を明らかにし、必要な場合は指導を行うべきである。

公正な競争条件構築
私立短大振興策確立

【高等教育分野】

(1)高等教育振興策における私立大学の総合的振興方策について
 
〔総合計画(グランドデザイン)の策定について〕
 私立大学の今日的な意義を重視し、国公立大学を含めた国民のための高等教育の総合計画(グランドデザイン)を描き示すべきである。
〔公正な競争条件の構築について〕
 国公私間の公正な競争条件の構築には、公財政支出を含む教育費負担の在り方(税制改正を含む)の再構築が急務であり、国は国民のための高等教育機関の総合計画(グランドデザイン)を策定する際には、そのことを明確にすべきである。
〔今後の教育行政の在り方について〕
 大学設置基準の内容を必要最小限の形式水準まで緩和し、高等教育機関としての質は評価制度で担保すべきである。
〔第三者評価の在り方について〕
 教育・研究の質と評価の多様性を担保するためにも機関評価やプログラム評価など複数の民間の機関が必要であり、国の機関による一元的な評価は新たな規制を生むことになるので適切ではない。

(2)私立短期大学振興の確立について
 (1)の私立大学の総合的振興方策については当然であるが、特に生涯学習社会の諸要請に対応して多様な機能を持つ短期大学の質的充実が進められている中で、政策の転換を図り、我が国の短期大学の九割を占める私立短期大学教育の一層の振興策を図るべきである。

(3)私立高等専門学校振興策の確立について
 建学の精神に基づき、人間性豊かなカリキュラムのもと、実学教育に成果を修めている私立高等専門学校教育の一層の振興策について検討願いたい。
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