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記事2002年3月23日 号 (1面) 
教免法一部改正など
二法案衆院提出
隣接免許取得促進へ単位数軽減
免許の失効措置強化、10年経験
 中央教育審議会が二月二十一日、遠山敦子・文部科学相に提出した答申「今後の教員免許制度の在り方について」の実施を図る、「教育職員免許法一部改正案」と「教育公務員特例法一部改正案」が、三月一日、衆議院に提出された。両法案は、信頼される学校づくり、教えるプロとしての教師の育成を目指したもの。両法案とも野党四党から本会議での趣旨説明要求がつけられており、委員会への付託は三月十五日現在行われていない。
 このうち教育職員免許法の一部改正案は、(1)他校種免許状による専科担任制度の拡大(2)教職経験を有する者の隣接校種免許状の取得の促進(3)特別免許状の授与要件の見直し、有効期限の撤廃(4)免許状の失効及び取り上げに係る措置の強化を柱とするもので、今年七月一日からの施行。ただし(4)に係る措置は来年一月一日の施行。具体的には、(1)の他校種免許状による専科担任制度の拡充は、▽中学又は高校の教諭の免許状を有する者が小学校の相当する教科(国語、社会、算数、理科等)、総合的な学習の時間の教授を担当することができるようにするもの。これまでは音楽、美術、保健体育、家庭科しか認められていなかった。▽高校の専門教科等(看護、情報、農業、工業、商業、水産、福祉等)の教諭の免許状を有するものが中学校の相当する教科(理科、技術等)、総合的な学習の時間の教授又は実習も担任することができるようにする。
 (2)の隣接校種免許状の取得促進は、三年の教職経験を有する小学校等の教員が、中学校等の隣接校種の普通免許状を取得しようとするとき、免許状取得に必要な単位数を軽減するとともに、その単位を大学だけではなく、教育委員会の開設する講習会等でも修得できるようにする。
 (3)の特別免許状の授与要件の見直し等は、これまで必要だった学士の要件をはずし、五年から十年という有効期限も撤廃する。
 (4)の免許状の失効、取り上げに係る措置に関しては、現行の規定を見直し、懲戒処分を受けた者の免許状は失効することとし、免許状を授与しない期間を三年とした。また免許状取り上げ処分を受けた者について免許状を授与しないこととする期間を二年から三年に延長した。このうち私立学校に関しては、国公立学校の教員の場合における懲戒免職の事由に相当する事由により解雇されたと認められるときは、その免許状を取り上げなければいけない。また学校法人は、その設置する私立学校の教員について免許状の失効又は取り上げ事由に該当すると認めたときは、速やかにその旨を所轄庁に報告しなければならない。
 一方、教育公務員特例法の一部改正案は、国公立の小、中、高校等の教諭等に対して任命権者は、在職期間が十年(特別の事情がある場合には、十年を標準に任命権者が定める年数)に達した後、相当の期間内に、個々の能力、適性等に応じて、教諭等としての資質向上を図るために必要な事項に関する研修をしなければならない、というもの。平成十五年四月一日からの施行。指定都市及び中核市の小・中学校等の教諭等に対する十年経験者研修は当該指定都市、中核市の教育委員会が行う。また市町村の設置する幼稚園の教諭等に対する十年経験者研修は、当分の間、当該市町村を包括する都道府県の教育委員会が実施しなければいけない。十年経験者研修に関しては、私立学校の扱いはまだ決まっていない。私立学校関係者からは、十年経験者研修実施のための予算措置を求める声が出始めている。
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