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記事2002年4月13日 号 (1面) 
学校週5日制で小野事務次官が言明
私立学校自主性を尊重 実施要請は強制ではない
新指導要領は5日制が前提
趣旨には理解を


 今年四月から完全学校週五日制が始まったが、これまで文部科学省は、私立学校に対して公立学校との足並みをそろえての実施を求めてきた。しかし四月一日、同省の小野元之事務次官は、記者会見の席で、「私立学校への実施要請通知は強制ではない」と発言した。四月四日、その発言の真意を小野事務次官に伺った。(編集部)

−−私立学校へ五日制実施は強制しない旨の発言をされたようですが。
 事務次官 そのとおりです。新しい学習指導要領は学校週五日制を前提にカリキュラムが組まれている。そうしたこともあるので五日制の趣旨を三月四日付で各都道府県教育委員会に通知した。その折、各都道府県知事にも私立学校の積極的取り組みへの指導を要請した。これに対して一部の方々から「私学に強制しているのではないか」とのご批判が上がっているが、この通知を見ていただければ私学への実施要請は強制ではない、ということが分かっていただけるはず。
 もともと私立学校は自ら休業日を定めることができることになっている。国が五日制を実施する前からキリスト教系の学校等では五日制を実施していたし、現在、月一回、二回のところもある。いろんな形があっていい。
−−五日制を実施しないことでペナルティーを受けることを心配する私学関係者もいますが。
 事務次官 今のところ五日制を実施していないからペナルティーということは考えていない。
−−国が五日制を強制しないにもかかわらず、都道府県が公私立足並みをそろえての実施を求めることはありませんか。
 事務次官 それは都道府県の考えだろうが、たぶんそうしたことをおっしゃる県はないだろう。
−−父母の間には公立学校が週五日制なのに私学は土曜日も授業をする。公立は大学入試等で不利との声もありますが。
 事務次官 学校五日制の実施で教える中身、知識の量は少し減るが、基礎・基本を徹底し自分で判断できる、自分で行動できる、自らクリエイティブにものを考えられるということが「生きる力」につながる。新しい学習指導要領と学校五日制の趣旨をご理解いただき、子どもたちにはぜひそうした力を身に付けてほしい。
−−公立で五日制の扱いはどうなるのですか。
 事務次官 国公立学校に関しては、学校五日制を実施してほしい。
−−公立学校で土曜日に補習を行う学校が現れていますが。
 事務次官 正規の授業としてやっているのではなく、補習だとか、PTAが教師を呼んできてということではないか。

土曜日の勉強は自由全員一律には問題

−−土曜日も勉強ではまずいのでしょうか。
 事務次官 もちろん土曜日に自主的に勉強することは自由です。土曜日に個人が任意で学校の施設を使って勉強することはよいが、全員一律に月曜日から金曜日と同じような授業を土曜日にも行うことはどうかと思う。
−−かつて文部省は五日制に関して国公私立学校が足並みをそろえて実施してほしいと言っておられましたが。
 事務次官 そのような指導をしてきたことは事実です。学校週五日制の通知を出しているのも、なるべく私学もご協力くださいというお願いで、学校五日制の趣旨を理解していただければありがたい。しかし私学の自主性は尊重する。
−−近く都道府県の私学担当者を集めて説明会を開くのですか。
 事務次官 近く、日程は未定ですが、各都道府県の私学行政の担当者、私立学校(団体)関係者などに学校五日制の趣旨を説明したい、と考えている。新しい小・中学校の設置基準も定めたので、その趣旨や、場合によっては新学習指導要領の説明もあるかもしれない。その中で五日制の趣旨のご理解をいただきたい。
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