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記事2002年5月3日 号 (1面) 
多様な教育を私学に期待
評価と公表の重要性強調
小・中学校設置基準制定等で説明会 文部科学省
弾力的な規定に 将来の第三者評価実施に含み
文部科学省は四月二十四日、東京都内の国立オリンピック記念青少年総合センターで四月に制定した小学校と中学校の設置基準などに関する説明会を開いた。当日は各都道府県・指定都市の教育委員会関係者、各都道府県の私学主管部局関係者、各国立大学の総務担当者らが出席した。

 冒頭、同省の加茂川幸夫審議官(初等中等教育局担当)が設置基準等の制定の経緯や趣旨などを説明した。今回の設置基準については、(1)多様な学校の設置を促すため最低基準とした(2)地方分権や規制緩和に資するよう弾力的な規定にした(3)設置者の教育理念が反映できるよう、できる限り大綱的な規定とした(4)自己評価を努力義務に、積極的な情報提供を義務化したなどの特徴を説明。
 このうち(4)に関しては、各学校が地域に開かれ特色ある教育づくりを進め教育の信頼を回復していくには避けられない課題で、説明責任(アカウンタビリティー)の重要性を強調した。その上で出席者に対しては(1)各校の自己評価、情報提供への指導と支援(2)多様な教育に関しては私学への期待が大きいとして私立学校設置認可審査基準などの見直しを要請した。
 続いて辰野裕一・文部科学省初等中等教育企画課長は、今回の設置基準は、新しい発想にブレーキをかけないよう必要なエッセンスにとどめる一方で、評価と公開を学校の責務として明確化したもので、学校が説明責任の世界に乗り出す出発点といえるものとした。
 また自己評価に関しては、各都道府県等教育委員会で取り組みの進捗状況に差があることから、全都道府県・指定都市教育委員会を対象に「学校の評価システムの確立に関する調査研究」を今年度中に実施すること、研究では評価項目・評価基準・評価体制の在り方、評価の実施方法、評価結果の公表方法、評価結果を活用した教育活動その他の学校運営の改善の在り方などを研究実践校を通じて研究するとした。
 さらに大学の例を引いて高校等に関しても今後、第三者評価の実施を視野に入れていること、全都道府県・指定都市教育委員会の研究では、第三者評価の研究も行う考えを明らかにした。

“私学の設置認可審査基準見直しを”

 さらに瀧本寛・文部科学省教育制度改革室長は、設置基準の各条項と留意事項(例外規定など)について細かく説明したが、この中では校舎と運動場は同一の敷地内、あるいは隣接した位置に設けることが前提だが、教育上支障なくやむを得ない場合は、離れた場所でもよいこととしたこと、その距離に関しては、大学の場合は一時間の距離だが、高校等であることや地域の実情などに応じて決めてほしいとした。また施設・設備に関して特別な事情があり、教育上の支障がない場合、他校の施設・設備が使用できることに関して、地方公共団体の施設のほか、第三セクター、公営企業、公益法人なども考えられ、また民間企業に関しても条件が整えば対象となりうる考えを示した。
 また同省の山根徹夫・私学行政課長は、各都道府県の私学主管課に対して私立学校の設置認可審査基準や私学審議会の運営の在り方、情報公開の見直しなどを各都道府県に要請した。
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