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記事2002年6月3日 号 (8面) 
私立大学・短期大学 新しい試み(2)
ITの最先端担う人材育成
早大で産学協同連続講座

 IT(情報技術)分野の最先端の研究開発を担う高度な能力を持つ人材を育てよう。早稲田大学(奥島孝康総長、東京都新宿区)理工学部は今年度から、社団法人電子情報技術産業協会の協力の下、国内メーカーの第一線で活躍するIT技術者を招いた全十二回の連続講座「IT最前線」をスタートさせた。
 同講座は、企業におけるダイナミックなプロジェクト形成過程や現時点での戦略、成功談などを語ってもらうことで、学生の産業界への関心や研究意欲を高めてもらおうという産学協同の試みだ。
 一九九六年の長野五輪でIT関連部門の中心的役割を担った日本IBMの中原道紀さんによる一回目の講座(四月十二日)は、定員四百二十人を大きく超える約七百人の学部生と大学院生で教室があふれた。学生たちはLinux(リナックス)をめぐる内容を熱心に聴き入っていた。
 一方、講義後の中原さんは、「学生たちは、企業がいかに収益を上げているのかを知りたがっていることが分かった。新しいものへ貪欲な姿勢があり、なにより柔軟だ」と学生たちの反応のよさに驚いていた。同講座は七月中旬まで、毎月二―四回開く。

世田谷6大学コンソーシアム
6月8日合同公開講座開講 教員の図書館相互利用も

 東京・世田谷にキャンパスを持つ、国士舘大学(三浦信行学長)、駒澤大学(大谷哲夫学長)、昭和女子大学(福場博保学長)、成城大学(我妻建治学長)、東京農業大学(進士五十八学長)、武蔵工業大学(堀川清司学長)の六大学は共同で、教員による図書館の相互利用、合同公開講座の開講などの事業に取り組んでいくことに決めた。世田谷区内に位置するという地理的近接性を生かし、それぞれに特色ある学部学科を持つ大学が連携、教育・研究による相互啓発を図り、地域社会へ貢献しようというのがねらいだ。その皮切りとして、六月に東京農業大学で合同公開講座を開く。
 昨年十二月、六大学の学長が「世田谷六大学コンソーシアム基本協定」に調印。教員による図書館の相互利用、他大学履修による単位互換、合同公開講座の開講、共同研究その他の研究交流、合同シンポジウムの開催などの事業のうち、実現可能なものから順次、実施すること、これら事業を企画し、運営するための機関として各協定大学から選出された委員からなる世田谷六大学コンソーシアム運営委員会を設置することなどを決めた。
 五月二十一日には、成城大学に六大学の学長、事務局長らが集まり、第五回会合を開催。六月の合同公開講座開講を承認した。合同公開講座は各協定大学の研究・教育資源を地域社会に還元することを通して、地域社会に貢献することを目的としており、世田谷にまつわるテーマが多く取り上げられている。また、教員による図書館相互利用を進めていくことも確認され、近く協定を交わすことになった。協定書案では、相互利用施設を大学図書館に限定し、利用者は協定大学の専任教員のみ、図書・資料の利用は館内閲覧に限り、館外貸し出しも行わない方針。
 合同公開講座の各回のテーマ、講師は次の通り。いずれも先着二百人が定員で、会場は東京農業大学世田谷キャンパス18号館二階。時間は午後一時から三時五十分まで。
▽六月八日=「世田谷の建築文化明日の遺産を考える」(堀内正昭・昭和女子大学短期大学部教授)「電波環境とくらし」(二川佳央・国士舘大学工学部教授)
▽六月十五日=「世田谷の風・東京の風」(中村和郎・駒澤大学文学部教授)「自動車用と家庭用燃料電池開発の現状と将来」(高木靖雄・武蔵工業大学工学部教授)
▽六月二十二日=「世田谷公教育の夜明け斎藤寛斎と太子堂郷学」(吉原健一郎・成城大学文芸学部教授)「世田谷の水と緑と風景」(進士五十八・東京農業大学学長)
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