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記事2002年9月3日 1857号 (2面) 
私学助成などできうる限り支援
インタビュー 文部科学省私学部長 玉井 日出夫 氏
私学の在り方見直し
取り巻く環境更に厳しく


文部科学省の八月一日付異動で玉井日出夫・大臣官房審議官(初等中等教育局担当)が高等教育局私学部長に就任した。そこで八月十三日、玉井部長に今後の抱負や当面の課題などを伺った。
(編集部)
 玉井部長は当面、平成十五年度概算要求が最大の課題としたが、合わせて私学に現在いくつか生じている問題へ適切に対処すること、私学の税制が課題と答えた。また「今後の私学のあり方がいよいよ問われつつある時代にきている。これまでと全く同じでよいということではなく、時代が大きく変わる中で、私立学校のあり方がさまざまな角度から議論がされ始めている。時代の変化によって見直すべきところもあるのではないか。そのあたりを勉強してみたい」とも語った。
 平成十五年度の私学助成に関しては大変厳しく、去年より厳しいとの認識。特に高校以下の私学については、国と地方の役割分担の中でも議論されており、今後も厳しい議論を予測しているが、そうした中でも、私学の重要性を訴え、できる限りの支援策を講じていきたい、との考えだ。
 ただし各都道府県で実施している授業料等軽減補助への国の支援策については、「前々から議論があるが、なじみにくいところがあってそこに至っていない。家計が急変した時などには緊急な対策を講じているが、一般的なものとしては難しい。一方、高校生に対する奨学金は別の見方で考えるべきだろう。日本育英会の高校応分について地方に移管する考えが出ているが、どんな形で行うのか、多くの県は自前の奨学金を持っている。またそれに対し国の財政支援も始まっている。それら両方を踏まえ今後を考えていくべきだ」とし、実現は難しいとの見通しを示唆した。
 文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会は、八月五日の答申の中で法令違反状態の大学に対する是正措置の創設を答申したが、この問題について玉井部長は、「問題のある私学のためというよりも、これまでの許認可(事前チェック)をもって水準を維持する社会の仕組みが、流動化・多様化の激しい情勢の中で、水準維持の方法として事前チェックは緩やかに、事後チェックはしっかりと、その間に評価をきちんと行うというシステムに変わろうとしている。問題があるからではなく、いかに水準を担保するか、この時代においてその手段は何がふさわしいのか、という目でご覧いただければ、(今回の是正措置創設が)お分かりいただけると思う」とし、高校等に関しても評価というシステムが入ってこなければいけないこと、まずは自己点検・評価への努力の必要性を強調した。
 その中教審で私学についての議論があまり行われないことについての質問に対しては、「私学固有のことを言う前に、まず大学として時代の変化に対応していかにあるべきか、ということを議論すべきで、私学だけの固有の議論となると、先ほどの『事前よりも事後チェック』といった時に、学校法人が内部監査、内部的な自助努力、内部的な透明性をどう確保するかが大変重要な問題だと思う。それこそ私学団体ご自身で大いに議論してほしい。商法も大きく変わった。そうした声をぜひ私学団体から上げてほしい」と語り、問題意識の一端を明らかにした。

 東京都出身、今月五日で五十四歳を迎える。趣味は俳句。長年、省外の俳句雑誌の事務局を務めている。
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