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記事2002年9月3日 1857号 (1面) 
教育の情報化を推進
IT活用した教育改革大学の取り組み
理事長・学長等会議開く
私情協
 私立大学情報教育協会(戸高敏之会長=同志社大学工学部教授)は八月三日、東京・三田の慶應義塾大学三田キャンパスで「平成十四年度教育の情報化推進のための理事長・学長等会議」を開催した。テーマは「IT(情報技術)を活用した教育改革に対する大学の取り組み」。IT活用を大学の教育・経営戦略と位置づけた基調講演のほか、ITを活用した授業改善モデルに関する事例発表、教育の情報化のための実施環境・体制についての討議が行われた。
 「大学の教育・経営戦略としてのITの活用」と題して基調講演を行った斎藤信男・慶應義塾常任理事は、大学教育においてITはその重要性が増す一方であるとし、戦略的に利用することが必須だと指摘。今後の重要な課題として(1)IT化の評価(2)IT戦略(3)e‐Learning戦略の三点を挙げた。(1)については、投資に見合ったコストの削減の有無、競争力の向上、教育研究の質の向上、将来性への寄与といった、IT化の投資効果の客観的把握に努めるべきだとした。(2)については教育目標、大学の保つべき使命をITでいかに支援するかが問われるとし、統合セキュアユビキタス環境(大学内で安全にどこでも利用できる統合的な情報基盤環境)、e‐Academia環境(教育・研究と事務管理部門のサービスを統合化した情報サービス環境)、e‐Community環境(大学の発展的な役割を示す環境)の三層の環境からなるIT化の目標を示した。(3)については、今後の大学経営の中で重要な戦略的武器であるとして、その利用を促した。課題はe‐Learningを支援する技術の標準化、共通化だとして、私情協が取り組むCCC(サイバー・キャンパス・コンソーシアム)を推進していくべきだと述べた。
 事例発表ではITを活用した授業改善モデルとして、ビデオ・オン・デマンドによる経済学の教室外授業(法政大学)、サイバースペース化した法情報学の授業(桐蔭横浜大学)、ネットワークによる建築学の大学間講評授業(東京工芸大学)などの発表があった。
 全体討議では、大学教育へのIT活用のための実施環境と実施体制について話し合い、早稲田大学と園田学園女子大学の事例報告も踏まえ、(1)教育の情報化を促進するため、教職員一体となって教育支援の構築に努力する(2)ネットワークによる、大学連携を通して、社会・世界に通用する事業の実現に努力するの二点を決議した。
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