文部科学省は八月二十八日、平成十五年度概算要求と税制改正要望を公表した。それによると概算要求基準では前年度比減額対象となっていた私立大学等経常費補助金、私立高校等経常費助成費補助金については、それぞれ前年度比で百億円増の三千二百九十七億五千万円、八十億円増の千五十七億五千万円を要求した。同省は厳しい財政事情にもかかわらず、私学教育の重要性を予算要求に反映させる形となった。また税制改正要望では四本柱の一つに私学振興を盛り込んでいる。


家計急変家庭への支援継続

　平成十五年度概算要求のうち、私立大学等経常費補助金は前年度比百億円増の三千二百九十七億五千万円の要求となったが、一般補助は前年度と同額の二千二百二十五億四千九百万円。増額要求分はすべて特別補助に回されており、その特別補助の中には「私立大学学術研究高度化推進特別補助」（予算要求額三百三十四億六千六百万円）が新設されている。この新規事業は世界水準の私立大学づくりを目指す観点から、（１）先端的・先導的学術研究の推進（２）優れた研究を実践する卓越した大学院への支援（３）学部における教育の質の向上や教育システムの改善（４）大学の高度情報化の推進を通じて意欲と可能性に富んだ私立大学への重点的な支援を進め、私立大学における教育及び学術研究の飛躍的向上を図ることを目的とした。
　私立高等学校等経常費助成費補助金に関しては、読書活動推進のための支援のほか、ＩＴ教育環境、外国人教員・社会人講師・補助教員等の活用に対する補助、幼稚園における預かり保育などの充実を図る。
　また私立高校等の児童生徒の保護者の家計急変による授業料軽減措置についても引き続き行えるよう前年度と同額の三億円を要求している。
　経常費補助金以外の私学関係予算では、私立大学・大学院等教育研究装置施設整備費補助に前年度比十一億五千万円増の二百四億五千三百万円を、私立高等学校等施設高機能化整備費補助に同一億五千万円増の二十二億三千九百万円を、私立大学等研究設備整備費等補助に同十四億五千百万円増の六十四億六百万円を、私立高等学校等ＩＴ教育設備整備推進事業には前年度予算の二倍強の十八億七千五百万円を、私立学校施設高度化推進事業費補助に約一億円増の七億三千九百万円を要求。また幼児教育振興には前年度比四・〇％増の百九十九億六千八百万円（経常費補助等除く）を、専修学校教育の振興には同七二・八％増の九億五千九百万円を要求。
　一方、公立学校関係では、校舎等の耐震化・老朽対策の推進に千七百億円を、十年経験者研修（新規）には五億五千二百万円を要求している。このほか環境に配慮した空調設備の整備（新規）（百億円）との要求も。一年当たり三万教室に夜間電力活用型等の空調設備を導入する。大学関係では二十一世紀ＣＯＥプログラムとして前年度比倍の三百六十四億円を要求している。（近く詳報）