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記事2003年10月3日 1906号 (8面) 
ユニーク教育 (120) ―― 奈良女子高等学校
建学理念生かしたカリキュラム
セレクト、アドバンス、保育の3コース

多中校長

  奈良市の中心部三条に位置する白藤学園(橋本正路学園長)、奈良女子高等学校(多中祥元校長)は明治二十六年、「敬身(心身を鍛えねばりのある人を)・敬学(真理を愛し、善事に励み、美しさを知る感性豊かな人を)・敬事(誠実に生きる喜びを知る人を)」の三敬を建学の精神に創立され、今年で創立百十周年を迎えた。
 橋本学園長は「建学の精神には、知・徳・体のバランスの取れた人材を育成するという内容が含まれています」と建学の精神を強調する。
 この建学の精神と私学の独自性を生かしたカリキュラムは、「セレクトコース」「アドバンスコース」そして、「保育コース」の三つに表れている。
 「セレクトコース」は確実に次のステップを踏み出せるよう幅広い知識と確かな能力を身につけるためのコース。一年次はコンピューティング基礎技術を習得し、二年次から生徒は興味・関心、進路、適性に合わせて、S1(情報コース)とS2(総合コース)を自由に選択することができる。
 このうち、「情報コース」は情報応用と情報活用の授業を通して、コンピューティング技術を一層磨き、将来情報社会に対応できる人材の育成を目指す。生徒の希望を考慮に入れて、例えば、パソコンを使ってグラフィックデザインやアニメーションの制作も授業の中で行われている。生徒はワープロ検定やパソコン検定の資格を目標にしている。また「総合コース」は幅広い分野で活躍できる人材育成を目標とし、特に国語と英語の語学力を着実に習得させるための指導を行っている。
 「アドバンスコース」は国公立・難関私立大学をはじめ、文科系の四年制大学に対応するためのコース。このコースでは、六時間目までは通常の授業を実施し、七時間目の特別授業は九十分授業で選択履修として全員に受講を義務づけている。その中で、各自の力に合わせた各種検定試験対策や大学受験講座を開講している。この講座は受講者が一人でも実施しており、力を注いでいる。
 「保育コース」は将来、幼稚園教諭や保育士などの乳幼児の教育や福祉関係の仕事を目指すためのコースで、そのために修得しておくべき必要な保育の基礎を学ぶ。一年次から多くの専門科目を取り入れており、例えば、保育技術を学んだり、同学園の付属幼稚園(奈良保育学園付属幼稚園)や近隣の保育所で見学・保育実習などを行っている。音楽の授業では、器楽、音楽リズム、ソルフェージュを学んでいる。高校在学中に、保育技術検定一〇〇%の合格率を誇る。
 卒業後は同学園併設の奈良保育学園、または大学や短大の幼児教育科を目指す生徒が多く、幼稚園、乳児園、児童養護施設、知的障害児施設、老人福祉施設などへ就職をしている。同県の私学で保育コースがあるのは、同校だけである。
 同校の特徴的な試みの一つとして、各コースで毎週土曜日に「土曜講座」が開講されていることだ。この講座では各種検定講座、大学受験講座、学力補充講座、趣味、特技講座などが行われている。無学年制で生徒が自ら希望する講座を選択し、受講している。橋本学園長は、「この土曜講座は生徒と教師が一緒になって行う講座で、保護者も参加して好評である。その意味でも、現代的な教育といえるのではないでしょうか」と土曜講座の効果を強調する。
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