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記事2003年10月3日 1906号 (1面) 
株式会社等設置の学校 私学助成見送り税制上の優遇も
公立校の管理運営を民間委託 中教審で検討
大学設置基準運動場、体育館借用可能
構造改革特区19件を実施へ
  六月中に行われた構造改革特区に関するアイデア募集(第三次提案)には二百八十件の提案が寄せられたが、そのうち新たに特区として実施する計画十九件が、九月十二日に開かれた構造改革特別区域推進本部(本部長=小泉純一郎首相)の第四回会合で決まった。

 それによると、文部科学省関係では、(1)公立学校の管理運営の民間委託(公設民営方式)(2)NPO法人が不登校児童生徒等の教育を行う学校を設置する場合における教員配置の弾力化(3)外国の学校への留学時における認定可能単位数の拡大、高校全日制における不登校状態にある生徒に対する通信制課程の教育課程の特例の適用(4)幼稚園と保育所の保育室の共用化を一定の要件のもと可能とする(5)大学設置基準の緩和(運動場設置・空き地確保の弾力化)(6)就学時健康診断の実施期限の一カ月延長――の六件が特区で来年度から実施されることになった。
 一方、総合規制改革会議等が強く要求していた株式会社等が設置した学校への私学助成実施は見送られることになったが、十一月に募集する第四次提案で再び争点となるのは確実の情勢だ。
 (1)の公立学校の管理運営の民間委託については、現在、中央教育審議会の教育行財政部会を中心に公立学校の民間への包括的な管理運営委託が検討されているが、今年中に結論を得て、文部科学省によって必要な措置が講じられる予定。対象校種は高校と幼稚園。
 公立学校の管理運営の民間委託関連では、公設民営型学校への県費負担教職員の配置の容認、教育職員免許制度の適用除外、教育委員会の権限の委譲(学校の管理権等の特区長への権限の委譲)などの提案も出されたが、これらの実施は見送りとなった。
 (2)は、一人の教諭が複数の学年の児童生徒からなる学級の担任となることを可能とする。
 (3)は、外国の高校に留学した場合、帰国後、日本の高校の単位として認められる限度(現行は三十単位)を特区では三十六単位まで認める。また後段は全日制高校の生徒が不登校状態になった場合、通信制教育を行うことを可能とする。
 (4)は、幼稚園児と保育所児を合同で教育・保育する保育室を設けることができるものだが、幼稚園児と保育所児の合計により児童福祉施設最低基準に規定する、面積基準、職員配置基準を満たすことなど五つの条件を満たすことが前提。ただし幼稚園教諭と保育士の資格の一元化提案に関しては、認められていない。
 (5)は、特段の事情があり教育研究に支障がない場合は、運動場、体育館の借用、空き地については校舎内に適切なスペースの代替を認めるもの。
 このほか私立学校とのイコールフッティングの観点からNPO法人立学校への税制上の優遇措置を求める提案もあったが、文部科学省は「まずはそれぞれの法人類型における税制体系の中で検討すべき課題」との考えを示している。
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