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記事2003年11月23日 1916号 (3面) 
短期大学パイオニア (5) ―― 青山学院女子短期大学
外国人教員の英語コーディネート授業
日本人教員への刺激に
  青山学院女子短期大学では英語の授業に外国人教員によるコーディネート授業を取り入れ、効果を挙げている。
 この英語授業は担当する十二人の英語圏諸国ネイティブ教員が相談しながら練り上げた共通教材をどのクラスでも使用して、同じ進度で授業を進め、テストの問題も共通で各学期二回、年四回試験が行われる。八十五分授業が一年生の時には週三回、二十五週(六単位)、二年生では週一回(二単位)行われる。同一問題でのテストは、学生をより公平な基準で評価することを可能にするが、他方、教員にとっては学生の到達度から自分の教え方が評価されるという面もあり、なかなか厳しいものである。こういうことに積極的に取り組むネイティブ教員の姿勢は日本人教員にもよい刺激を与えている。
 授業の時に使われるのは英語だけ。ネイティブ教員は全員が教育分野の修士号(MA)を持ち、非英語圏の国で英語を教えた経験十年以上というキャリアの持ち主ぞろいである。研究室は個室でなく大部屋の共同研究室で大小のインフォーマルなミーティングをやりやすいため、コーディネート授業の実施上の諸問題解決にプラスに作用している。学生が質問にきたとき、担当教員がいなくても、その部屋の教員ならだれでも対応できる利点もある。
 授業の一例は「価値観」というテーマで、倫理、正邪、正直などに関して自分や周りの世間、世界で多様な価値観があることを議論する。教員は「正直がいいといっても、あなたは太ってみえるとか、あなたのボーイフレンドと私はデートしたわと言うこともいいことですか」などと学生に問いかけて考えさせる。あるいは幼稚園で、子供の母親たちは『うちの子は公立の小学校に行かせるから受験勉強はしていない』と話し合っていたが、フタを開けてみると、全員私立の小学校を受験していたので、唖然(あぜん)とした」という話を引用して問題を投げかける。次は学生に英字新聞の中から「正直」に関して問題提起するような話題を拾い出させ、それについて要約したうえで自分の意見を述べさせて討論のきっかけとする。ある学生はイラク戦争に関するマスコミの報道を新聞の中から取り上げ「マスコミは戦争のことをそもそも正直に報道できるのか」と問題提起した。
 これらはすべて英語でやりとりされるが、英語だけに囲まれた環境を提供する狙いは、話すことだけ上手になればいいという目的からではない。話す内容を自分で考え、練り上げ、他人との意見交換を通して深めていく力をつけることを目的としている。
 年一回は学内スピーチ・コンテストでクラスから一人ずつ選抜された代表が競い合う。そこで選抜された学生が都内や日本国内のさまざまな学生英語スピーチ・コンテストに出場し、優秀な成績を挙げてきた。東京都私立短期大学協会主催のスピーチ・コンテストでは平成元年に一位、十一年に二位、十三年に一位、十四年に一位という成績を収め「英語の青山」の名を高めてきた。
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