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記事2003年11月23日 1916号 (2面) 
日短協・経理事務等研修会開催
技能技術の向上目的に基礎技能習得
学校法人制度の改善
学校法人 透明性、情報公開への対応協議
  日本私立短期大学協会(川並弘昭会長=聖徳大学短期大学部理事長・学長)の私立短大経理事務等研修会は十一月五日から三日間、札幌市内のホテルで開かれた。同研修会は学校法人の経理事務等担当者を対象に年一回開き、技能技術の向上を目的に基礎技能を習得し、当面する課題について検討している。今年は約三百二十人が参加し、学校法人制度の改善などさまざまな話題を講演会や分科会で取り上げた。
 初日は、森本晴生・財務研究委員長(東京文化短期大学理事長・学長)が状況報告を行った。学校法人制度改善検討小委員会の答申「学校法人制度の改善方策について」や、委員を務める「学校法人会計基準の在り方に関する検討会」について、公開を義務付けられた財産目録や貸借対照表および収支計算書、資金収支内訳表および消費収支内訳表などの財務書類を説明した。
 このうち、財産目録については「プライバシーの保護が歯止めとなる。例えば、小規模の学校法人の場合、退職金の金額や個人まで特定できる。公開の程度については、日短協で検討しており、今月中にも案をまとめる予定だ。登記に使用する一枚ものか、同程度でよいという内容になるだろう」とした。また、学生募集に影響することや、会計知識のない学生や受験生、保護者に分かりづらくなるなどの理由から、詳細な公開は必要ではないとした。
 続いて、濱健男・文部科学省高等教育局私学部参事官付学校法人経営指導室長が私学を取り巻く諸問題について講演した。濱氏は、学校法人制度の改善方策について「学校法人の透明性の確保と、説明責任の明確化」が要点であると述べ、「世の中の流れは事前の関与から事後の評価へと変化し、社会に対して可能な限り情報を提供する方向に進んでいる。厳しい経営環境だと思うが、透明性の高い学校法人の責任者として対策を講じてもらいたい」とした。また、各短大の学生数の情報については「文科省では原則、非公開で取り扱ってきた。しかし、ほとんどの学校法人が私学助成や税制上の優遇措置を受けている。定員数が未充足であるなどの理由はあるだろうが、国民の最も知りたい情報を公開しないことは、批判はされても評価はされないだろう」と、厳しい意見を述べた。

学校会計、資産管理など課題別討議

 午後は参加者の担当業務に合わせて設定した分科会を行い、学校簿記や学校会計基準、計算書類、経常費補助金、資金管理などのテーマに分かれてさらに詳しく検討した。
 このうち、特色ある大学教育支援プログラムをテーマにした分科会では、玉上晃・文部科学省高等教育局大学課大学改革官室課長補佐が同プログラムの審査要領などのほか、学校教育法の改正や大学設置基準の見直しなど、文科省の施策について説明した。
 玉上氏は同プログラムについて「教育を重視する趣旨で始まった。日本の教員の七割は、研究を重視しているという調査結果がある。一方、アメリカでは七割が教育、残り三割が研究を重視する結果だった」と説明。学生への支援や地域との取り組みなど内容が分かりやすいため、高校の教員の関心も高いとした。今年度、採択された学校については今後、事例集を発行し、来年一月にはフォーラムを開く。
 次回の事業は今年度よりも早く展開する見通しで、一月ころから公募し、二月から三月に応募を受け付け、新年度には審査に入る。二、三日目は引き続き講演会や分科会を行い、私立短大を取り巻く状況について認識を新たにした。
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