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記事2003年11月23日 1916号 (1面) 
中高連など私学3団体が振興大会
私学振興予算満額達成要望
国庫補助の拡充に期待
教育費格差は私学が公立の5.8倍にも
  経済財政諮問会議で「三位一体改革」の集中審議が始まるなど政府の来年度予算案編成が本格化してきたが、日本私立中学高等学校連合会(堀越克明会長=堀越高校長)など私学三団体は、十一月二十五日、東京都内の東京都日比谷公会堂に二千人を超える私学関係者や私立学校の保護者らを集め、「私学振興全国大会」を開催する。当日は、出席の与党衆参両院議員に私学関係概算要求の満額実現はもとより、教育費に対する公費支出の公私間格差是正等を要請する。

 私学振興全国大会を開催するのは、中高連のほか、日本私立小学校連合会(平野吉三会長=啓明学園理事長)と全国私学父母の会(池田隆会長)。
 平成十六年度私学関係予算に関して文部科学省は、「私立高等学校等経常費助成費補助金」に一千八十一億五千万円を要求するなど私学教育の役割の重要性を反映した予算要求している。
 私学関係者や保護者らは税制面での措置を含めて教育費負担の軽減の実現を強く求めており、各都道府県での私学助成の大きな起爆剤となる国庫補助金の拡充に強い期待感を寄せいている。高校の場合、公私立学校間の教育費の格差は初年度で五・八倍にも開いている。こうした格差は公費支出額の違いによるもので、今や準義務教育といえる高校教育で理不尽な格差が放置されている。
 こうした状況の中で進められているのが政府による「三位一体の改革」。財政面から地方分権をより確かなものにしようというもので、国庫補助負担金を廃止・削減し、代わって税源を地方に移譲、地方交付税措置も見直す−−という内容。十六年度から始まる三位一体の改革を前に、十一月十八日の経済財政諮問会議の席上、小泉首相は国庫補助負担金については一兆円削減を指示。また全国知事会も活発に発言しており、同日、公表した「三位一体の改革に関する提言」では、十六年度に関して総額二兆円程度の国庫補助負担金の廃止を求めている。この中の教育・文化関連では、「私立高等学校等経常費助成費補助金」の全額をはじめ、「教員研究事業費等補助金」「高等学校等奨学事業費補助金」「地方スポーツ振興費補助金」などを優先して廃止するよう提言している。
 国庫補助負担金の廃止に伴って、地方で引き続き実施すべき事業に関しては、各都道府県の判断によって事業が続けられることになるが、税財源の移譲はこれまでの国庫補助額を下回る額しか出されないため、事業規模の縮小の可能性は高く、私学振興助成に関して考えれば、助成額の引き下げ、各都道府県間の格差の拡大が確実な情勢だ。
 また国庫補助負担金の削減が先か、税財源の移譲が先かなど省庁間の綱引きや都道府県間の思惑の違い、教育分野では義務教育費国庫負担金の行方など、種種の不確定要素があり、より先の見えない状況となっている。
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