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記事2003年4月13日 1886号 (1面) 
総合規制改革会議と文科省で意見交換 大学等設置を全面届出制化 規制改革会議
大学・学部学科設置の自由化
文科省 質の確保から不適切
  政府の総合規制改革会議(議長=宮内義彦・オリックス株式会社代表取締役会長兼グループCEO)は三月二十七日、都内で第三回アクションプラン実行ワーキンググループを開催し、文部科学省との間で、大学・学部・学科の設置の自由化、株式会社等による学校経営の解禁などについて激論を交わした。この中で同会議側からは、遅くとも平成十六年四月からの第三者評価制度の開始に合わせて、大学および「学位の種類・分野の変更を伴う学部・学科の設置」も含めて、届け出制への全面的移行が要求され、これに対して文部科学省は、完全自由化は大学の国際的通用性、質の確保の観点から不適切と反論した。
 この日の意見交換会は、二月十七日に策定された「規制改革推進のためのアクションプラン」に盛り込まれた十二の重点検討事項のうち、文部科学省関係の「大学・学部・学科の設置等の自由化」「株式会社、NPO等による学校経営の解禁について」に関して双方の主張をぶつけ合ったもの。同会議は、六月末には「重点検討事項に関する答申(仮称)」を取りまとめることにしており、重点検討事項については経済財政諮問会議でも集中審議し、「骨太の方針二〇〇三」に盛り込む予定。
 大学・学部・学科の設置認可に関しては、昨年の臨時国会で学校教育法等の一部が改正され平成十五年度から、当該大学が授与する学位の種類及び分野の変更を伴わないものにかぎり認可制から届け出制に変更されたが、同会議は、大学が主体的な判断により機動的に編成できるよう、遅くとも平成十六年四月からの「第三者評価制度」の開始に合わせ、現在、原則として、文部科学大臣による認可が必要な大学・学部・学科の設置、学生定員の変更等について、大学及び「学位の種類・分野の変更を伴う学部・学科の設置」も含め、届け出制へ全面的に移行すべきだと主張した。
 これに対し文部科学省は高等教育の質の保証を図るためには(1)事前関与としての大学の設置認可(2)事後チェックとしての大学の教育研究活動に対する第三者評価制度の双方の組み合わせにより担保することが適切で、主要国でも同様な質の保証システムが採られているとの考えを示した。
 同会議では認可と届け出の区分けの基準を「学位・学問分野」とすることは、学問分野の融合領域が急激に拡大している中では非合理的とし、むしろ柔軟性のない認可制が学問の融合などへの対応を阻害し、わが国の大学の質を落としているとした。また校地・校舎の自己所有要件など大学の設置基準の大幅な緩和についても積極的な推進を求めた。
 一方、株式会社、NPO等による学校経営の解禁に関して同会議は、特区における改革の進(しん)捗(ちょく)については評価したものの、今後は特区における成果を全国展開するとともに、(1)国公立学校について、地方公共団体が株式会社等に対し包括的な管理・運営の委託(管理委託事業)を解禁すること(2)学校を設置した株式会社等にも私学助成や優遇税制を適用するよう求めた。これに対して文部科学省は国公立校の第三者への委託は学校設置者の責任放棄であり、株式会社等の設置した学校への私学助成は憲法八九条の問題もあり困難との立場をとった。
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