こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2003年5月3日号二ュース >> VIEW

記事2003年5月3日 1888号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
【留学生部会】

新たな留学生支援制度
留学生宿舎の整備のあり方も審議


 中央教育審議会の留学生部会(部会長=木村孟・大学評価・学位授与機構長)は五月二日、文部科学省分館で第六回部会を開き、新たな留学生政策に関して「国費外国人留学生制度」「私費留学生支援制度」「留学生宿舎の整備」の在り方と今後の方向を討議した。
 このうち、国費外国人留学生の採用について文科省は、現在の制度では大使館推薦、大学推薦、国内採用が五対四対一の割合となっているが、在日の私費留学生のなかから国費留学生に採用する国内採用には、近年優秀な私費留学生からの応募が集中しており、これを踏まえ採用枠を確保する必要があるのではないかとの考えを示した。
 これに対し委員からも、「私費留学生には優秀な人材が多く、これをフォローアップしていく形での採用を増やすべき」「修学が十分ではない国費留学生には、採用打ち切り・支援金の一部返還など厳しい措置も必要」との意見があった。
 私費留学生支援制度の今後の課題として、留学生数増加に対する施策の充実、留学生が不安なく修学が可能となるような支援制度(セーフティー・ネット)の強化、などが文科省から示された。
 これについて委員からは「十八歳人口の減少に伴い大学入学者数は減少傾向にあるが留学生の数はますます増加しており、留学生受け入れを促進・充実させる施策が必要で、設置基準見直しなども含め、大きく見直すべき時期にきているのではないか」との意見があった。
 留学生宿舎の整備については、公的な宿舎提供が求められているとしているが「これまでも大学セミナーハウスなどの計画はあったが、現行制度下では実現が難しく、大幅な規制改革などの措置が必要」との複数の委員からの指摘があった。
 また、私立大学に対する助成金について文科省は、留学生の受け入れ数に応じて補助金を増額しており、また外国語教育の改善に関するものなど特色ある教育研究を実施している大学には所要経費の二分の一以内を増額補助していると説明、これについて委員からは「外国語教育の改善に関するものに限定したより細かい予算額を示してほしい」との要望があった。
 今後の審議のタタキ台となる「新たな留学生政策作成にあたっての審議事項のイメージ」については、これまでの意見をもとに(1)真に勉学、研究を目的とした質の高い留学生の受け入れには、海外教育事情に関する情報の収集と各大学等への提供に関する機能の強化が必要(2)元留学生に対するフォローアップ(3)関係省庁・地方自治体・企業・団体等との連携、などが新たに盛り込まれた。


【大学分科会】

高等教育全体の在り方
ワーキンググループを中心に検討へ


 中央教育審議会の大学分科会(分科会長=佐々木毅・東京大学長)は四月十一日、文部科学省別館で第十七回分科会を開き、今後の高等教育のグランドデザインについて審議した。
 この日は文部科学省から「高等教育のグランドデザインを考える視点(例)」が提示されたが、大きな議論の進展には至らなかった。今後はワーキンググループを作り、各委員の意見を聴取したうえで全体の討議を進める方針。
 ワーキンググループの委員構成については、分科会長に一任された。
  「高等教育のグランドデザインを考える視点(例)」として示されたのは(1)高等教育の使命(2)高等教育の多様な発展(3)政府の役割。
 このなかで「高等教育の使命」については、「知」の世紀において我が国が発展していく上で高等教育の役割はいかにあるべきか、また、社会の要請や学生等のニーズにどう応えていくべきか、としている。
  「高等教育の多様な発展」については、大学や大学院などの高等教育機関の在り方についてどのように考えるか、国・公・私立の高等教育機関の在り方をどのように考えるか、国際化や情報化に対応する新しい高等教育の在り方をどう考えるか、が示されている。
 また、「政府の役割」として、高等教育に対する政府の役割はどうあるべきか、高等教育財政の在り方をどう考えるか、などが例として示された。
 これを受け、委員からは、「『知』の世紀の『知』とはなにを指すものなのか」「今後各論を議論するにあたり視点としてより具体的なものを示してほしい」などの意見が多数を占めた。また「世界に通用するものとなるためには、大学には倫理の問題を含めた検討が必要」との指摘もあった。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞