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記事2003年7月13日 1898号 (9面) 
新校長インタビュー (80) ―― 麻布中学・高等学校
校長 氷上 信廣氏
自主・自立を重視
自発的な学習意欲を引き出す
 「本校は麻布学園創立者、江原素六先生の精神に沿って、中等教育の理念として何よりもまず幅広く深い教養を身につけ、豊かな人間形成を図ることを目標としています」
 麻布中学・高等学校(東京都港区)の氷上信廣校長は、「進学校として消費されるだけの学校ではない」ことを強調する。
 創立以来、同学園は目主的に考え、判断し、自立した行動のとれる人材の育成を目指し、自由闊(かっ)達(たつ)な校風を伝統としてきた。「人間的成長の上で、根幹をつくる中等教育では、特に友人や教員などとの人間同士の付き合いが必要だ」と言う。
 自主・自立の精神は、生徒の自主活動や年間行事を重視しているところに表れている。同校にはクラブや同好会が四十余りあるが、中学一年からの加入を勧めている。春夏の合宿を重視し、心身を鍛え、研究にいそしんでいる。春の文化祭、秋の運動会は生徒の自主活動の一環として、全校生徒によって選ばれた実行委員会を中心に企画運営されている。
 学習面では、六年間の連続性を考えた独自のカリキュラムを編成し、生徒の自発的な学習意欲を引き出すように心掛けている。生徒が自分で考え、それを表現する力が大事だという方針の下に、同校では多くの本を読ませ、文章を書かせている。中学三年では、共同で行う「卒業論文」を課している。卒論は一人の作家の作品を読ませ、それについて半年がかりで研究をさせるものだ。高校一年後半では、「基礎課程修了論文」(通称・修論)で地歴や・公民の分野から各自が自由にテーマを一つ選んで研究し、論文として三十―四十枚程度にまとめる作業を行う。「論集」がこれらの授業の成果を発表する場となっている。
 「結局、良い本をたくさん読むことによって、力を持った、内容のある文章を書くことができるようになると思います。これは素晴らしい人間との出会いと同様に、人間形成の上で最も大事なことです」
 氷上校長は「大事なことは生徒に学ぶモチベーションを与えられるかどうかだ」と指摘、何のために勉強するのか意味が分かれば、後は生徒自身の問題だと語っている。
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