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記事2003年7月13日 1898号 (1面) 
構造改革特区への提案と規制改革に対する要望 高校設置基準を大幅改正
公設民営、NPO法人等へ助成
大学設立の専任教員数、校舎面積の緩和
各省庁との調整を経て9月には実施内容決定
  政府の内閣官房構造改革特区推進室と内閣府総合規制改革会議事務室は七月四日、連名で六月の一カ月間に地方公共団体や民間事業者等から提案のあった構造改革特区への提案と全国規模での規制改革要望を公表した。それによると構造改革特区では百八十八の提案主体から二百八十件に上る構想が提案され、また全国規模での規制改革では百九の主体からのべ五百八十四項目の要望があった。このうち特区構想提案では公設民営型学校の設置、学校法人以外の主体による学校設置の容認(拡充)等が、全国規模の規制改革では高校設置基準の大幅改正、大学設立に伴う専任教員数や校舎面積の緩和等の要望が寄せられた。

 今回、特区構想と規制改革要望の募集は、六月一カ月を「規制改革集中受付月間」として実施されたもの。このうち特区構想の受け付けは第三次となるもので、一次、二次の募集にはなかった提案、過去提案され特区で実現したものの更なる拡充を求めたもの、これまでに提案されたが、実現しなかったため再提案されたものが盛り込まれている。百八十八の提案主体の内訳は、地方公共団体が百十二、民間事業者が七十六。二百八十件の特区構想の中には教育関係の三十構想、福祉分野の三十構想(いずれも地方公共団体から)が含まれており、また民間事業者からは教育関係として株式会社、NPO法人等から三十八件の提案が寄せられている。その中では第二次提案で認められなかった「公設民営型学校の容認」を求めるものが多く、そのほか第二次提案で認められた「株式会社、NPO法人(不登校児対象)による学校の設置」の特例の充実、具体的には株式会社等による学校への私学助成の実現、不登校に限定しないNPO法人による学校設置の容認、公設民営学校における授業料徴収の可能化などの提案が出されている。
 今後、各省庁に個別の提案の検討が要請されるが、私学関係では、第二次提案の際に認められなかった株式会社やNPO法人等に対する私学助成の実現が大きな焦点となりそうだ。
 第二次提案の際も文部科学省と総合規制改革会議委員との間で憲法八九条の解釈を含めて激しい議論が展開されたが、改めて第三次提案でも今後再び憲法論議などが展開される見通し。
 そうした調整を経て、九月をめどに特区で実施する内容が構造改革特別区域推進本部で決定される。
 一方、全国規模の規制改革に関しては、百九の提案主体が要望していたが、その内訳は四十七が地方自治体、六十二が民間企業等。
 その要望のうち教育関係のものとしては、社会人を対象にした大学院教育にかかわる大学院設置審査基準の緩和、学校法人の寄付行為及び寄付行為変更の認可に関する審査基準の緩和、高校の新たな課程区分の設置、幼稚園と保育所の施設基準の統一、私大助成金における「財産処分制限期間」の見直しなどが出されている。
 全国規模の規制改革も各省庁と調整のうえ、九月中をめどに実施内容が「政府決定」として定められる。審議の過程では特区と全国規模の規制改革に関する両審議は十分な連携が図られる。
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