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記事2003年9月23日 1904号 (2面) 
ポスト留学生 10万人計画の留学生対策
私大協・留学生担当協議会
留学生対応策で事例発表
問題意識や情報共有重要
  日本私立大学協会(大沼淳会長=文化女子大学理事長・学長)は九月十二日、東京・市ヶ谷の私学会館で平成十五年度留学生担当者協議会を開いた。加盟大学から留学生担当の教職員約百七十人が出席。「ポスト留学生十万人計画を受けての留学生対応策」をテーマに、近年増加しつつある留学生の受け入れや支援などについて情報を交換し理解を深めた。協議では、留学生への適切な入学選考や在籍管理、各大学の問題意識や情報の共有などが今後の課題とされた。

 留学生担当者の資質向上を図り、加盟大学の発展に役立てることが目的。昨年度、中央教育審議会大学分科会の留学生部会が発足し、外国人留学生の受け入れ体制や質の確保について政策を検討するなど、留学生への関心が高まっていることを受けて始まった。今年で二回目を迎え、今回は初めて事例発表を行った。
 事例発表では、桜美林大学国際交流センターや文化女子大学が対応策などを発表した。このほか、文部科学省や法務省入国管理局の担当職員による協議などがあり、出席者たちは政府の政策や動向に理解を深めていた。
 開会で、森田嘉一副会長(京都外国語大学理事長・総長)は「留学生は十万人を突破し、ここ数年、大変な勢いで増加している。それに伴い、留学生がトラブルを起こし、または巻き込まれるような事件もあり、心を痛めている。学籍管理を含めたさまざまなことを提言していただきたい」とあいさつした。
 協議では、文部科学省高等教育局留学生課長の黒木慎一氏が「留学生政策の現状と展望について」を主題に、中央教育審議会大学分科会の留学生部会や日本学生支援機構法、留学生交流関係の来年度概算要求額などについて話した。
 黒木氏は近年、留学生が倍増している背景として▽中国などアジアからの留学生の増加▽十八歳人口の減少で、各大学の留学生の受け入れが進んだ  などと分析した。
 また、今年度内に「留学生受け入れ十万人計画」を達成する見込みに対しては、欧米諸国に比べると日本の留学生の割合は依然低く、今後も増加すると予測した。
 諸外国の留学生数はアメリカが約五十八万人(高等教育機関在学者に占める留学生の割合、約七%)、イギリス約二十三万人(同約一八%)など。日本は約三%で、主要国と比べて低い。
 最近の留学生をめぐる問題を踏まえた課題としては▽私費留学生などに対する適切な入学選考の実施▽退学(転学・転校を除く)、除籍、行方不明となった留学生についての定期報告、帰国の勧め▽適切な在籍管理▽大学・短期大学の協会などの活動を通じた、各大学の問題意識や情報の共有▽日本の大学などについての正確な情報の提供(日本留学フェアなど)▽日本留学試験の海外での実施国の拡充  などを挙げた。
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