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記事2003年9月23日 1904号 (1面) 
中教審教育行財政部会 新タイプ学校運営で実践報告
地域や保護者の声直接反映
  中央教育審議会の教育行財政部会は、九月十九日、東京・千代田区の如水会館で六回目となる会合を開き、学校の管理運営の在り方の検討に関連して、金子郁容・慶應義塾大学大学院総合政策学部政策・メディア研究科教授を招き、同氏の提唱するコミュニティ・スクールについて意見聴取した。また文部科学省の委嘱で「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究」を進めている東京都の足立区教育委員会と実践校、三重県の津市教育委員会と実践校から保護者や地域の声を学校経営に直接反映させる実践や学校裁量権の拡大の成果・課題等について実情報告を受けた。
 このうち金子教授はコミュニティ・スクールは、(1)自治体が設置し地域コミュニティが自立的に運営する新しいタイプの公立学校(2)公立学校システムの複線化(3)教員採用、予算使途、教育課程などの決定が学校と地域学校協議会に権限委譲されるものとした。また自治体からの関心も高まっているとしたが、委員からは「現行制度の枠内でもできるのではないか」などの指摘があった。
 一方、地域や保護者等の声を今まで以上に学校経営に反映できる学校理事会等の取り組みが両教委等から報告されたが、学力のとらえ方で学校理事会側と校長とのせめぎあいが起こるなど必ずしも順風満帆ではない点もあるが、学校側の説明や勉強会等でテストの結果だけが学力ではないことの理解が進んでいることや、地域住民の教育に対する関心、子供達の意欲や集中力も高まっているとの成果が報告された。
 学校(長)の裁量権に関係して実践校からは、「優秀な教員がほしい」「校長等の考える特色作りに合わせて個別にスキルを持つ教員がほしい」との意見が聞かれた。
 また両教委・実践校とも研究期間が終了した後に予算の手当てがなくなり、取り組みが停滞することを懸念する意見も聞かれ、津市教育委員会からは、新しい「コミュニティ・ファンド」の研究を行っていくこと、地域や保護者等との連携強化では休日や夜間に活動が行われることから、教員の柔軟な勤務形態の整備や時間外勤務の在り方の抜本的な見直しが不可欠との報告も出された。
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