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記事2004年10月13日 1952号 (1面) 
文科省が私大等に私学法改正で説明会
積極的に財務情報公開
公開するルールづくり要請
監査報告は法人運営全般に
 「私立学校法の一部を改正する法律」が平成十七年四月一日から施行されるのに合わせて文部科学省は、九月二十七日から十月八日にかけて私立大学等関係者を集め全国六ブロックで改正の趣旨や概要、施行に際しての実際的な留意事項等の周知を目的とした説明会を開催した。今回の改正は昭和二十四年に同法が制定されて以来五十五年ぶりの大改正。

 このうちブロックごとの説明会の皮切りとなった関東甲信越ブロック説明会は、九月二十七日、東京・千代田区の東京都日比谷公会堂を会場に行われた。学校法人制度全般に及ぶ大幅な改正だけに会場いっぱいに私立大学等関係者らが詰めかけ、文部科学省側の説明、その後の質疑などに熱心に耳を傾けた。
 今回の改正は、法人諸制度の改革や規制緩和の進展など社会情勢等の変化の中で、私立学校の自主性をこれまで同様尊重しつつ私立学校の公共性を高め、学校法人がさまざまな課題に主体的かつ機動的に対処できるよう改めるもの。具体的には学校法人における管理運営制度の改善、財務情報の公開、私立学校審議会の構成の見直しが柱。
 理事制度や監事制度の改善、財務情報公開のあり方などについては、文部科学省は説明会までに問い合わせの多かった二十五項目に関してQ&Aの形で説明を行った。
 例えば来年度から新たに公開が義務付けられた財務書類等の種類については(1)財産目録(2)貸借対照表(3)収支計算書(4)事業報告書(5)監事による監査報告書としたうえで、取り扱いに関しては(1)〜(3)は今年七月の私学部長通知で様式参考例を示したこと、収支計算書は基本的に資金収支計算書、消費収支計算書が該当することなどを挙げている。また学校法人会計基準に従い貸借対照表、収支計算書を作成している学校法人は、これらを閲覧に供することを持って足りるが、この場合は補助金交付の観点からの表示区分になっている旨を注記等により示すことが適当なこと、(4)事業報告書に関しては、法人の概要、事業の概要、財務の概要に区分して作成することが適当なこと、監事による監査報告書については特段、様式等の例示をしていないが、財務に限らず学校法人の運営全般が対象になるとしている。
 財務情報の閲覧に関しては、休業日の閲覧請求など正当な理由があれば閲覧を拒むことができるが、文部科学省はどの時期に閲覧できないなどルールを法人ごとに決めてほしいとした。
 また文部科学省では文部科学大臣所轄法人(大学等)に関して、どのような公開の工夫を行っているのか、積極的な対応をしているのかを調査していることを明らかにするとともに、財務情報等の公開に関しては積極的な分かりやすい工夫を出席者に要請した。説明に続く質疑応答では、学校法人の代表権者の登記、寄附行為の改正、理事会の招集などに対する関心が特に高いようだった。
 改正私立学校法に関してQ&Aや質疑で徐々に詳細が明らかになってきたことにより、私学団体の中には改めて同法を施行していくうえでの課題などの検討を始めるところもある。

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