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記事2004年2月13日 1924号 (2面) 
護送船団方式から適格者支援に
都道府県私学主管部課長会議開く
私学行政の意識改革が重要
私学に対する財政措置広く検討を要請
 文部科学省は、一月三十日、東京・九段の日本私立学校振興・共済事業団にて平成十五年度第二回都道府県私立学校主管部課長会議を開催した。
 この中で、加茂川幸夫・高等教育局私学部長は、これからの私学行政の在り方・役割を取り上げ、私学全体の底上げを目指すこれまでの“護送船団方式”から、これからは適格者支援を重視し、意識改革を図っていくことが重要で、必要な競い合いに前向きに取り組むことがより社会の信頼に応えることにつながると指摘。学校法人制度の見直しについては、管理運営の適正化に向けてガバナンス機能を強化し、財務情報の開示という課題にも応えていく考えで、私学審議会の在り方の見直しと合わせ、私立学校法の改正案を今国会に提出する準備を進めている、とした。また、構造改革特区に関する民間等からの提案に関しては、教育に有益な結果が得られる可能性もあるとして、十分な調査と柔軟な対応を各都道府県に要請した。加茂川部長はまた、「三位一体の改革」に関連して、私学助成の在り方についても言及し、私学への支援策については、さまざまな考え方があるが、今一度どういう私学振興策がよいのか、しっかりと議論して、知事に提案してほしいと要請。国と地方の役割分担については、根本から議論したいとの考え方を明らかにした。さらに、努力している学校に、より多くの補助金が交付されるよう、傾斜配分の要素を強めるなどの工夫を要請した。この後、私学関係部局からの所管事項を中心に当面の施策等の説明が行われた。
 このうち、久保公人・私学行政課長は、平成十六年度の税制改正で日本私立学校振興・共済事業団の受配者指定寄附金制度の手続きが簡素化されて、私立学校が寄附金を受けやすくなったことから、新しい措置の活用促進に向けた周知を要請したほか、学校法人制度と私立学校審議会の見直しを行う私立学校法の改正案の成立後には、通知の発出や説明会の開催を行うとした。このほか年金制度の見直しに合わせて私学共済法の改正も予定していることを明らかにした。
 栗山雅秀・私学助成課長は、十六年度の私立高等学校等経常費助成費等補助金の内訳や特別補助の一部を文部科学省が学校法人へ直接助成する方式に切り替えることを説明。補助金全般に関しては、大学等では学生数が定員の五〇%を割り込んだ場合、補助金を不交付にすべきとの指摘を行政評価で受けているが、各都道府県においてもより重点的・効果的配分への取り組みを要請した。三位一体の改革に関連しては私学への財政措置をより広い観点から改めて議論してほしいと述べた。
 浅田和伸・参事官は、私学運営の適正化、財務情報の公開、学校法人会計基準の見直し、経営困難法人への対応について説明。管理運営の不適正な法人の存在は、私学全体への社会的信頼を損ね、公益性の高い法人としてとられている助成等の施策にもマイナスに働くとして、未然防止の重要性を強調した。また、私立学校法に財務書類の公開に関する規定を置く方向であることを紹介するとともに、経営困難問題への対応については、各法人の主体的な取り組みを支援する適切な指導助言を要請した。

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