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記事2004年3月13日 1927号 (2面) 
日本の短大の44倍補助
韓国専門大学視察旅行 報告書刊行
全国大学実務教育協会
 全国大学実務教育協会(会長=和野内崇弘・札幌国際大学理事長)は、昨年五月の日韓大学フォーラムに続き、九月に韓国専門大学視察旅行を実施し、このほどその視察内容を「二〇〇三年度韓国専門大学視察報告書」としてまとめた。
 韓国の専門大学とは、二年または三年課程の、専門学士を授与する、わが国の短期大学に相当する教育機関。現在百五十九校・千百九十三課程で約三十万人の学生が在籍している。レポートの中で視察団団長の菅野英孝氏(同協会副会長・福島学院理事長)は、まずは仁徳大学(ソウル市)の例をあげ、同専門大学二〇〇三年度一年間の補助金が、総額で実に百七十六億六千万円にも上ると報告している。
 仁徳大学は学生数が昼夜合わせて六千二百人。同規模の日本の短期大学と比較して、四十四倍もの補助金を受けていることになる、としている。
 その他永進専門大学が、四千台のコンピュータをシステム化し、二十八億円の実験実習機材投資を行い、百三十四億円分の関係企業からの寄贈を受けていることを紹介。日本と同じく少子化に悩む韓国専門大学のこれらの事情を「とにかく立派としかいいようがない」とし、それに比べて、日本は国家的戦略が欠けていると指摘した。
 また同協会事務局長の岡村隆臣氏は随行記の中で、韓国の専門大学から学ぶべきこととして、永進専門大学視察で「国家顧客満足度三年連続専門大学部門一位」と書かれた懸垂幕を見かけた折のことを次のように記している。「韓国では顧客は企業であるとのことであった。日本では顧客は学生であると言われている。本協会の目指す大学における実務教育とは『社会において役に立つ人材の育成』であり、考えてみれば大学にとって『入り口』の顧客は学生であるかもしれないが、『出口』の顧客は社会であり、企業である。韓国の専門大学で顧客が企業であるということは至極当然のことであるかもしれない」。
 同協会では、今後も韓国の専門大学やカナダのコミュニティカレッジとこうした情報交換などを続けていく予定。

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