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記事2004年3月13日 1927号 (2面) 
国・外国語、理数教育見直しに着手
16年度中をめどに基本的方向性
学力調査結果受け 教員の資質向上、指導方法等も
中央教育審議会
 文部科学省は三月十一日、小学校から高校までの国語教育、外国語教育、理数教育の見直しに着手することを明らかにした。同省の近藤信司・初等中等教育局長が三月十一日、中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会(部会長=木村孟・大学評価・学位授与機構長)に検討を要請したもの。これらの問題については、河村建夫・文部科学大臣が先月の衆議院文部科学委員会で所信を表明した際、総合的な学力調査の結果や今年二月の文化審議会答申「これからの時代に求められる国語力について」等を踏まえて、学習指導要領の不断の見直しをさらに進め、検討に着手する考えを明らかにしていた。
 具体的には中教審の教育課程部会に、新たに国語、算数・数学、理科、外国語に関する四つの「教科専門部会(仮称)」を設置するとともに、学習指導要領など教育課程の基準の在り方や各学校種にまたがる事項・教科横断的な事項等を検討する「教育課程企画特別部会(仮称)」を新設、平成十六年度中をめどに基本的な方向性を取りまとめる予定。
 国語教育・外国語教育・理数教育に関しては、初等中等教育全体を通じた教育の在り方、教員の資質向上、指導方法・指導体制の工夫等を検討することにしている。特に小学校での英語教育に関して近藤局長は、「どうするのか結論が出ていない」としており、小学校での英語教育の是非も検討する。
 公立小学校では総合的な学習の時間を活用して一部の学校で英会話活動を実施しているが、文部科学省の調べによると、三年生から六年生にかけて五割強の学校でそうした授業が行われており、年間十一時間から十二時間の授業時数となっている。私立小学校では大半の学校がすでに英語教育を実施している。
 各専門部会等の委員は今後決定するが、木村部会長は各専門部会には専門以外の委員も加えて幅広い検討を進めていきたい考えを明らかにした。
 文部科学省は国語教育等のほか、総合的な学習や特別教育の在り方についても今後順次、専門部会を設置し検討を進めていく方針。
 また平成十三、十四年度の教育課程実施状況調査結果では理科の不振や学習意欲の低下などが問題となったが、これまでの「いい大学に入り、いい会社に入りたい」という思いが勉学の強い動機付けとならなくなってきていることから、小・中・高校生の勉学に対する動機付けも課題といえる。木村部会長は「動機付けが一番重要。NPOなどの利用も大事」といった考えを明らかにした。
 この日の部会では委員から、きちんとした日本語教育に関連してテレビ番組の影響を指摘する意見や成績の不振は学習指導要領によるものなのか、教員の指導によるものなのか分析が必要だとする意見、教育の充実は結構だが、削るものがなければ現場はパンクしてしまうといった意見も聞かれた。今回の見直しを学校が受け止められるかなども教育課程企画特別部会で検討する見通し。

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