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記事2004年3月13日 1927号 (1面) 
私学法の改正案を衆議院に提出 財務情報の公開義務づけ
私学審委員構成規定など撤廃へ
平成17年4月から施行予定
理事会等の役割分担を明確化
 政府は二月二十七日、「私立学校法の一部を改正する法律案」を衆議院に提出した。この改正案は、学校法人がさまざまな課題に対してこれまで以上に主体的・機動的に対処できるよう学校法人の管理運営制度の改善等を図るもの。具体的には学校法人制度における理事・監事・評議員会の役割分担の明確化や財務情報の関係者への閲覧の義務化、地方分権推進の観点から私立学校審議会の委員構成等の規定の廃止等を行う。平成十七年四月から施行の予定。

 このうち学校法人の管理運営機能の改善では、理事制度に関して、新たに理事会についての規定を設け、学校法人の業務に関する最終的な決定機関が理事会であることを明確化し、また理事会の代表権は原則として理事長が持つこと(寄附行為の定めで他の理事にも代表権を付与することができる)を定める。経営責任が明確化することになる。現行制度では理事全員が法人を代表し、理事の過半数をもって決するとされている。
 理事の任期、選任・解任手続きを各学校法人の寄附行為によって定めることとするほか、理事のうち一人は外部理事を選任するなどを定めている。監事制度に関しては、監事の職務に、新たに監査報告書を作成し理事会、評議員会へ提出することを加えること、監事は評議員会の同意を得て理事長が選任するとともに、解任手続き、任期は各学校法人が寄附行為により定めること、監事は評議員と兼職してはいけないこと、監事のうち少なくとも一人外部監事を選任することなどを定めている。評議員会制度に関しては、理事長は毎年度事業計画および事業の実績を評議員会に報告することとする。
 一方、財務情報の公開に関しては、学校法人が毎会計年度終了後二カ月以内に作成する財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書、監査報告書を事務所に備え置いて在学者その他の利害関係人から請求があった場合、プライバシーの保護など正当な理由がある場合を除いて、これらを閲覧に供しなければいけない。その他の利害関係人とは保護者や債務や債権関係のある人などを指すものと見られる。このほか私立学校審議会の委員構成等に関しては地方分権を推進する観点から、現行の委員構成、推薦手続き等に関する規定を削除し、教育に関して学識経験を有する者の中から都道府県が任命することとして各都道府県の判断に委ねるようにする。
 なお財産目録等の書類の様式など詳細は法律の成立後、定められる予定。寄附行為の変更は平成十八年三月までに行うことになる。また今回の改正内容について文部科学省は、通知のほか説明会等で趣旨の徹底を図るほか、小規模法人への配慮措置も検討する予定。

学校教育法改正案等も

 私立学校法の一部改正案に続いては、「学校教育法等の一部を改正する法律案」「文化財保護法の一部を改正する法律案」「著作権法の一部を改正する法律案」が、いずれも三月五日、衆議院に提出された。このうち学校教育法等の一部改正案は、学校教育法上に「栄養教諭」を位置づけ、その職務を規定するとともに、教育職員免許法の一部を改正して「栄養教諭」の免許状を創設、取得要件を定める。また大学の薬学部の修業年限を薬剤師養成を目的としたものについては六年制とする。

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