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記事2004年3月23日 1928号 (1面) 
教育制度分科会で審議始まる 中央教育審議会
地方分権下の「教委」検討へ
首長との関係論点に
地方教育行政部会新設、委員決定
 中央教育審議会の教育制度分科会(分科会長=鳥居泰彦・日本私立学校振興・共済事業団理事長)は、三月十八日、都内で第十二回会合を開き、三月四日に河村建夫・文部科学大臣から新たに諮問のあった「地方分権時代における教育委員会の在り方」について審議を開始するとともに、この問題を専門的に審議する部会を新設することを決めた。部会の名称は「地方教育行政部会」で、二十六人の委員も決まった。委員には教育委員会の必置規制見直しを求める総合規制改革会議の委員も加わっており、今後激しい議論が予想される。地方教育行政部会は近く初会合を開く予定。

 教育委員会は教育の中立性や安定性などを確保するため、知事や市長など首長から独立した合議制の執行機関として、また教育の専門家でない非常勤の委員が教育行政の基本方針を決定するという体制(レイマンコントロール)を採っている。そのため迅速な意思決定や責任の所在の明確化等の観点から意義を問う声が上がっているほか、教育改善を選挙時の公約に掲げて当選した首長が教育行政に積極的に関わろうとする動きが目立つようになるなど、さまざまな課題を抱えている。そのため三月四日の諮問では、教育委員会の今日的な意義と役割、首長と教育委員会の役割分担、市町村教育委員会の広域化の推進方策、事務局体制の在り方、教育行政における都道府県と市町村との関係、学校と教育委員会の関係などのほか、それに関連して学校評価の在り方、管理職の確保策、管理職を支える学校の組織運営体制の整備、教職員に意欲を持たせる方策などが検討課題として挙げられた。
 この日の分科会では、首長と教育委員会の役割分担の見直しに関連して、「ケーススタディーとしてメリット、デメリットを調べるべきだ」「首長が選挙のたびに教育を変えていたら問題だ」「教育委員会の中にいる人間としては、的はずれの批判が多い。制度に内在する問題ではなく、運用の問題だ」「教育問題を争点に戦った首長が当選後に教育に手をつけようとすると教育委員会の壁がある。それなら教育委員会はいらないという批判に結びつく」といった意見が聞かれた。地方分権時代の教育委員会の在り方に関しては一年以内をめどに答申をまとめる予定。地方教育行政部会の委員は次の通り。
 (委員)▽浅見俊雄・国立スポーツ科学センター長▽木村孟・大学評価・学位授与機構長▽國分正明・日本芸術文化振興会理事長▽田村哲夫・渋谷教育学園理事長▽渡久山長輝・全国退職教職員生きがい支援協会理事長▽鳥居泰彦・日本私立学校振興・共済事業団理事長▽山本恒夫・大学評価・学位授与機構教科研究部教授▽横山洋吉・東京都教育長
 (臨時委員)▽吾妻幹廣・福島県石川町教育長▽池端雅代・奈良県PTA協議会長▽稲田繁生・佐賀県生涯学習センター館長▽石原多賀子・金沢市教育長▽大澤正子・板橋区立常盤台小学校長▽小川正人・東京大学教授▽片山善博・鳥取県知事▽門川大作・京都市教育長▽北城恪太郎・日本IBM会長・経済同友会代表幹事▽佐藤宏・盛岡市教育委員長▽千代忠央・松伏町長▽土屋正忠・武蔵野市長▽津田和明・サントリー株式会社相談役▽藤田英典・国際基督教大学教授▽宮崎緑・千葉商科大学助教授▽森田朗・東京大学大学院法学政治学研究科教授▽森脇道子・産能短期大学長▽八代尚宏・社団法人日本経済研究センター理事長

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