こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2004年6月3日号二ュース >> VIEW

記事2004年6月3日 1935号 (1面) 
中教審が中間報告 義務教育費国庫負担制度必要
一般財源化は責任放棄
 中央教育審議会の教育条件整備に関する作業部会(小川正人主査=東京大学大学院教育学研究科教授)は、五月二十五日、義務教育費に係る経費負担の在り方に関する中間報告を公表した。
 義務教育費国庫負担制度は、教育分野でも地方分権が進んでいることや政府の三位一体の改革などを受け全額一般財源化などの検討が求められていた。
 中間報告では義務教育に対する国の責任、義務教育無償制と完全就学の保障、教職員の人材確保、義務教育の地域間格差の是正、義務教育水準の安定的確保、地方財政の健全化の観点から、義務教育費国庫補助制度等の必要性を強調している。また当面は文部科学省が実施した「総額裁量制」「公立学校教員給与の国立学校準拠制の廃止」等地方の自由度を拡大するための一連の改革の成果を見守りつつ、さらなる改善方策を考えていくべきだとしている。
 さらに義務教育費国庫負担金を一般財源化したらどうなるかのシミュレーションもしており、その場合は、(1)国の義務教育に対する責任放棄というべき事態になる(2)学校経費の安易な保護者への転嫁など義務教育の無償制に反する事態を招く(3)教育水準維持に必要な教職員確保ができなくなり少人数指導、習熟度別指導、障害児教育、問題行動への対応、四十人学級の維持などが困難になる(4)へき地・離島など小規模学校を多く抱える地域の義務教育水準が著しく低下する(5)義務教育の水準が地方の財政状況の変動を直接受けて不安定化する(6)地方財政の硬直化を招く――としている。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞