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記事2004年7月23日 1943号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
大学基準協会 現行の評価法に改善の余地
会員制のあり方にも懸念
高等教育の質保証で意見発表
 中央教育審議会・大学分科会の制度部会(部会長=岸本忠三・大阪大学長)は、七月十三日、都内で第十回の会合を開き、大学基準協会の認証につき審議をしたほか、諸外国の高等教育改革、高等教育の質保証について、関係者から意見を聞いた。前回の会合で協会の関係者にヒアリングを行ったが、この日はそれをふまえた審議となった。同協会は、大学の相互評価で約五十年の実績があり、認証に異論はないものの、現在の評価に、改善の余地があるとの指摘も聞かれた。

【大学分科会・制度部会】
 同協会では、会員となるための加盟判定審査と、相互評価の二本立てとなっている。どちらも大学設置基準に基づくものであり、義務づけられた第三者評価に相当する。しかしこの名称では、法制化された評価に相当すると理解しにくいため、工夫を求めるべきとの意見がある。また「相互」は「第三者」と矛盾するため、結果を公表する際に説明が必要との指摘もある。さらに、会員制の評価機関というあり方が、評価機関選択の自由度を狭めるという懸念も示されているが「会員制をやめろといったら、国の支援のない機関は、立ちゆかなくなる。評価を法制化した以上、評価機関を支援する政策も必要」と指摘する委員もいた。
 そのほか、この日は、木村孟委員(大学評価・学位授与機構長)が諸外国の高等教育改革について、丹保憲仁・放送大学長が、大学の設置認可を巡る現状と課題について、それぞれ意見発表を行った。木村委員は、奨学金の充実や、学部生を持つ家庭への免税措置が、高い進学率を支えている米国の実態、奨学金の充実やパートタイム就学の普及で、十八歳人口の一〇六%の進学を実現した英国の事情等を発表した。
 丹保学長は「評価組織も十全ではない現状で、概念だけで実務を進行させるのは危険」と、事前規制から事後評価への拙速な移行に懸念を示したほか、日本では大学の定義は一つで、実態は千差万別であると指摘、専門学校、高等専門学校、単科大学について、通信教育によって基礎、教養教育の補てんが必要であるなど、高等教育充実策の提案を含め意見を述べた。

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