こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2004年7月23日号二ュース >> VIEW

記事2004年7月23日 1943号 (1面) 
文科省 酒田短大に初の閉鎖命令
留学生問題発端に経営悪化
 文部科学省は七月十三日に開かれた大学設置・学校法人審議会(学校法人分科会)に学校法人瑞穂学園(山形県酒田市・上田敏明理事長)への解散命令の是非を諮問した。その結果、同学園に解散を命ずることを「妥当」とする答申が出され、翌十四日付で同省から解散を命ずる通知が発出された。
 これは私立学校法第六十二条第一項の規定による解散命令。
 学校法人瑞穂学園は、設置する私立学校(酒田短期大学)の経営に必要な財産を有していない(=私立学校法第二十五条第一項に違反)、評議員会が置かれていない(同四十一条第一項に違反)など法令の規定に違反、かつ他の方法により監督の目的を達することができないことから解散が命じられた。
 文部科学省が所管する学校法人への解散命令はこれまでに例がなく、今回が初めて。
 瑞穂学園は、平成十三年十月、酒田短大が受け入れを予定していた中国人留学生二百六十五人について、仙台入国管理局から在留資格認定証明書が交付されなかったことを契機に、不適切な運営と経営状態の悪化が判明。その後、同法人は短大の経営は困難と判断、十四年度の学生募集を中止、在学生の転学、教職員の解雇等が進められ、平成十五年三月に最後の卒業生(六人)が卒業した後は在学生も教職員もいない状態となった。同年四月には校地・校舎の大半が差し押さえられた。
 そうした中で文部科学省による度重なる指導が行われてきたが、最終的に同省は、自主的な解散は不可能と判断、今回の解散命令となった。
 七月十二日午後、同省は、行政手続法第十三条第一項の規定による「聴聞」を行い、学校法人側の意思を確認したところ、解散命令を受けることについて「全く異議はない」との回答だった。

精算法人化残余財産等清算へ
 今後、同省は学校法人に対し解散命令の文書発出とあわせて、裁判所に解散命令処分の通知を行い、登記所に解散登記の委託を行う。
 学校法人は解散後、清算法人となり現理事が精算人となって残余財産等の清算が行われる。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞