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記事2005年12月3日 2006号 (1面) 
三位一体改革、政府・与党で合意 義務教育、国の負担1/3に
小中で8500億円削減
私学助成は対象外先行き不透明
政府、与党は十一月三十日、三位一体の改革に関する協議会を開き、過去二年間に決定している分に加え新たに国庫補助負担金等六千五百四十億円の削減を決定した。これにより平成十六年度から三年間で約四兆円の国庫補助負担金等を廃止、代わりに約三兆円の税源を地方に移譲するという三位一体改革が決着を見ることになった。私立高校等に対する国庫補助金も一時期、検討課題に上がったが、結局、一般財源化は免れた。ただし全国知事会など地方六団体は十九年度以降も引き続き税源移譲を求めていく構えで、地方交付税制度の見直しと合わせ先行きは不透明だ。

 三位一体の改革では、文部科学省の「義務教育費国庫負担金」の扱いが大きな焦点となった。
 昨年の政府・与党合意では同負担制度の取り扱いが決まらないまま、中学校分について暫定的に減額を行うこととなり、義務教育の在り方については、国の責任を引き続き堅持するものの、義務教育の在り方については一年をかけ文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会で検討することになった。中教審は審議を開始したものの、同審議会の義務教育特別部会では地方六団体の代表とその他の委員が激しい議論を展開、義務教育に対する国と地方の役割分担が議論された。結局、中教審は十月二十六日に開いた総会で、市区町村と学校への権限と責任を拡大しつつも、現行の義務教育費国庫負担制度は堅持し、質を保証するとの結論を多数決の末に打ち出し、十一月末に予定されていた政府・与党合意での中教審答申の取り扱いに関心が集まっていた。今年の政府・与党合意では、現行の国の負担率二分の一を、小・中学校を通じて三分の一に引き下げ八千五百億円の税源移譲を確保することに決まった。しかし「義務教育費国庫負担制度を堅持する」とも明記されており、この点について小坂憲次・文部科学大臣は、「中教審の答申通りではないが、国・地方の負担により義務教育の教員給与費が全額保障される制度は今後も維持されるべきだとする答申の基本の理念は踏まえられており、義務教育費国庫負担制度を堅持すると明記し決定された点は重要」との談話を明かにしている。地方団体の首長の中にも義務教育費国庫負担制度の堅持を求める声が多く、学力低下傾向の中で国のリーダーシップに対する期待や国家戦略として教育の重要性、とりわけ義務教育の大切さが国庫負担制度の堅持を後押ししたともいえる。義務教育については今後中教審答申等に沿ってさらに改革が進む。

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