こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2005年9月13日号二ュース >> VIEW

記事2005年9月13日 1991号 (1面) 
中教審、新時代の大学院教育を答申
「論文博士」の在り方など検討必要
中央教育審議会(会長=鳥居泰彦・慶應義塾学事顧問)は九月五日、「新時代の大学院教育国際的に魅力ある大学院教育の構築に向けて」を答申した。課程の目的を明確にした上で学位授与へと導く教育プログラムの編成・実践や国際的な通用制を提言している。社会人などが大学院に在籍しないで論文審査を受けて博士の学位を得る、いわゆる「論文博士」の在り方などについても今後検討が必要としている。

 答申案は序章、第一、二、三章の四部で構成。まず序章で大学院学生数が八万七千四百七十六人(昭和六十三年)から二十五万四千四百八十三人(平成十七年)まで増加していることなどを紹介。「人材養成の目的に沿った教育の組織的展開が弱く、急速な量的拡大に伴う諸課題に対応しきれていない」などと指摘している。
 一章の「国際的に魅力ある大学院教育に向けて」では、(1)各大学院の課程の目的を明確化した上で、学位授与へと導く体系的なプログラムの編成・実践(教育の課程の組織的展開の強化)(2)大学院評価の確立、国際的な質保証活動への参加、世界的な教育研究拠点の形成支援などを通じた国際的な通用性、信頼性の向上を提言している。
 具体的な取り組みを示した二章の「新時代の大学院教育の展開方策」では、「大学院の課程の単位の考え方の明確化」「修士課程および博士課程(前期)の修了要件の見直し」「豊かな学識を養うための複合的な履修取り組み」「博士課程の短期在学コース創設の検討」「国によるコースワーク充実のための情報提供」を例示している。
 また、「論文博士」については将来的に廃止する方向で議論していたがパブリックコメントなどで廃止に反対する意見が多数寄せられたことから、適切な取り扱いを検討することが必要、などの表現にとどめている。
 三章の「大学院教育の改革を推進するための計画と社会的環境の醸成」では、平成十八年度から二十二年度までの五年間、世界的な教育拠点の形成を目指す「大学院教育振興プラットフォーム(仮称)」を実施することを求めた。具体的な取り組みとして、修士課程および博士課程(前期)の修了要件の見直しや、学生へ奨学金審査を早期に行うことで経済的に支援することなどを提言している。

記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞