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記事2006年12月23日 2052号 (1面) 
中教審大学制度部会 FDの義務化が焦点
教職員の職能開発重点論議
 中央教育審議会大学分科会制度部会(部会長=安西祐一郎・慶應義塾長)は十二月十四日、都内で会合を開き、教職員の職能開発、ファカルティ・ディベロップメント(FD)の義務化などについて議論した。会合の意見は今月二十五日に開かれる大学分科会の配付資料に反映される。
 重要な論点の例として「学士課程教育の現状と課題」をまとめ(1)ユニバーサル化への基本認識等(2)学修の評価、学位の授与(ディプロマ・ポリシー等)(3)教育内容・方法等(カリキュラム・ポリシー等)(4)入学者選抜の実施(アドミッション・ポリシー)など(5)教職員の職能開発(ファカルティ・ディベロップメント等)(6)その他――を示しており、特に制度部会では教職員の職能開発、FDについて重点的に議論することとしている。
 現状と課題でFDについては、人材養成目的、各種ポリシーを明確にした上で、教員団が情報を共有して組織的に取り組むことの必要性、学習成果重視の中での教育方法改善が重要になっていること、実務家教員の教育力向上を指摘。ワークショップの導入、教員の相互参観や相互評価、授業評価の組織的な活用、明確化された人材育成に対応した教員評価の構築も必要としている。
 またFD推進方策として「大学教育センター」やコンソーシアム等への支援、ネットワーク化について、大学院教員の養成機能、TAの教育力向上、他大学におけるインターンの仕組みなどについてどう考えるかなどを挙げている。ほかにも、専門性の高い事務職員、大学アドミニストレーターの養成・研修(SDなど)、そのための環境整備、例えば検定制度が必要なのでは、としている。会合では、天野郁夫・独立行政法人国立大学財務・経営センター研究部長が「FDを設置基準に義務付けるということが書き込まれると思うが、それ以降がない。実際に、具体的にどうやってFDを普及させていくのか」と指摘。

複数の大学で実施もよい
大学教育の責任明確に


 木村孟・独立行政法人大学評価・学位授与機構長は「ひとつの大学でやるのは難しいのでは。いくつかの大学がまとまってやる形でもよいのでは」と提案した。
 黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長は自校での取り組みを紹介し、「学生には入学時と比べてどの科目で何ができるようになったか、一人ひとりに自己申告させている。学生は常に教員からの評価と対話している状態。教員は時間がない中、夏休みなどを利用して研修も行い、大変お金もかかる」などと実情を述べた。
 金子元久・東京大学大学院教育学研究科教授は「大学の教育に誰が責任を持つのか、責任の所在が明確になっていない。改善につながるメカニズムを構築することが重要」と話した。

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