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記事2006年12月23日 2052号 (1面) 
平成19年度私学予算、内示前に初の決着
私学助成前年度比1%減
私大等経常費補助に減額重く
高校等は前年度と同額
 平成十九年度の私学助成予算が十二月十八日、伊吹文明・文部科学大臣と尾身幸次・財務大臣との事前協議で、前年度比一%マイナスとすることが決まった。例年、私学助成予算は予算編成最終段階の大臣折衝までもつれるのが常で、財務省の予算原案内示前に決まるのは初めてのこと。

 私学助成予算については今年七月の「骨太の方針」で、十九年度から五年間、各年度の予算額を名目値で対前年度一%(年率)削減することを基本とする――との方針を閣議決定していた。
 それに対して文部科学省は、「基本とする」との文言を拠り所に、私立大学等経常費補助金については、前年度比一・五%増の三千三百六十二億五千万円を、私立高等学校等経常費助成費等補助金については、同二・九%増の一千六十八億五千万円を要求していた。
 しかし十八日の事前協議では、私立大学等経常費補助金については、財務省の一%(三十三億円)削減要求に対して、最終的には〇・九七%(三十二億円)の削減となった。
 私立高等学校等経常費助成費等補助金については、財務省の一%(十億円)削減要求に対して、最終的には前年度同額とすることに決まった。
 このほか私学助成予算では私立学校の施設・設備の高度化・高機能化支援関連予算が、合わせて前年度比五・八%(十四億円)削減されることになった。
 結果、私学助成予算は、前年度の総額四千五百九十三億円から四十六億円減の四千五百四十七億円となった。四十六億円減はちょうど前年度比一%の削減にあたる。
 私立大学等への補助金の減額に関しては、これに見合う私立大学等における学術研究の支援の充実を図る。学術研究の支援充実に関しては、「科学研究費補助金」(=国公私立を通じて大学等の研究を支える主要な競争的資金)のうち、私立大学が多く申請する基盤研究(B)と(C)に新たに間接経費三〇%を措置する。科研費のうちの直接経費は研究者本人に渡り、実験機器購入費や実験試薬代、研究旅費、技術支援者への謝金に使われるが、間接経費は大学等に渡され、学内共通の分析装置の維持管理、研究支援事務スタッフの人件費、研究棟の整備、学内ネットワークの整備管理等に使われる。
 私大に対する支援の充実では、科研費の直接経費の額を一〇〇とした場合、間接経費として三〇を措置しようというもの。科学研究費を獲得した私立大学は四百七十三校あるが、そのうち間接経費の配分を受けた大学等は二三%に過ぎず、残りの七七%の大学等は間接経費がなく、大学の負担増大が問題となっていた。
 大学等に関連しては、このほか、特別補助を改組・メニュー化し、私立大学にとって使い勝手が良い、大学の特色に応じたきめ細かな支援を推進すること、定員割れの大学に対する補助金の削減(減額の強化)及び経営改善に取り組む大学に対する支援の新設により、メリハリのある支援を実施することも決まった。

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