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記事2006年12月3日 2050号 (2面) 
18年度第2回首都圏私学問題連絡協議会
県の財政状況で私学助成に格差
公私立高校の選抜日程を一定期間に集約討議
公立高選抜日統一要請
 今年度二回目の「首都圏私学問題連絡協議会」が、十一月二十一日、千葉市内のホテルで開かれた。協議会には東京、埼玉、神奈川、千葉の一都三県の私立中学高校協会、私立学校所管課、教育委員会の関係者が出席し、平成十九年度の公私立高校の生徒収容計画や入学者選抜日程、私学振興助成対策等について情報交換、協議を行った。

 このうち入学者選抜日程に関しては、昨年に続き「首都圏の公私立高校の入学者選抜の日程を一定期間内に集約する」との改善案が東京と神奈川の私立中高協会から提案された。選抜方法の多様化や受験機会の複数化等が進むにつれ、高校入試日程は、早期化・長期化の傾向にあり、中学校教育への影響が懸念されている。公立学校側も選抜日程が長期化していることは認識しており、日程の見直しを進めつつある教委もある。しかし入試改革は公私立高校双方に大きな影響を生じさせることから一気に改善することは難しい面があるが、東京私立中高協会の近藤彰郎会長は、首都圏の公立高校の入学者選抜日の統一に取り組んでほしいと要請した。公立高校の場合、私立高校のように県を越えての掛け持ち受験はない。この日の協議では、一定期間への集約に関し結論は出なかった。公立高校は他県の模様眺めといった状況のようだ。会議の座長を務めた藤田慶治・千葉県私立中学高校協会長は「私を捨てて生徒のために真剣に考えるべきだろう」と語り、今後も検討を続けることになった。
 一方、私学助成対策に関しては、各都県の私学助成の現状などが報告されたが、知事の意向で助成水準に大きな開きが生じていることが明らかになった。東京都では石原慎太郎知事が私学振興に前向きで、私立高校等への経常費助成についても一次内示の段階で要求額の満額が認められるといった状況。しかし埼玉県では機関補助から直接助成に比重が少しずつシフトしていることなどから、最近三年間で生徒一人当たりの運営費補助単価が約六万四千円も低下、一方でその間の学納金の上げ幅は約一万円に留まっており、私立高校等に厳しい収入減をもたらしている。埼玉県私立中学高校協会の松崎洋右会長も「状況は悪化の一途。危機的状況」と現状を報告。また神奈川県、千葉県の私学助成水準も全国平均と比べなお厳しい状況で、「生徒の健康に関わる予算まで削減されてしまう」(千葉県)といった報告もあったが、「知事の目が少しずつ私学の方向に向いてきた」、「知事と話し合う機会を多く持つようにしている」など明るい兆し≠熾告された。
 補助金に絡んでは、いわゆる「未履修問題」に絡んで未履修校へのペナルティーとして複数県で補助金カットの意向が報道されたが、報道のあった県の私立学校所管課からは、「具体的指示はない。現状では検討していない」「知事は制度を紹介しただけ」など、具体的削減に関する報告はなかった。このほか平成十九年度の公私立高校の生徒収容計画や入学者選抜方法などが各都県から報告されたが、学校の個性化・特色化、入学者選抜方法の多様化が進んだことで、制度が複雑化、受験生や保護者に分かりづらくなっている点などが課題として報告された。

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