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記事2006年12月3日 2050号 (1面) 
私学三団体が私学振興全国大会
教育費負担軽減決議
国庫補助制度堅持
学校選択自由の実質保障を
 日本私立中学高等学校連合会(田村哲夫会長=渋谷教育学園理事長)など私学三団体は、十一月二十七日、都内の東京都日比谷公会堂で「私学振興全国大会」を開き、私立学校の保護者の教育費負担軽減や、学校選択の自由の実質的な保障に向けて、私立高校等に対する国庫補助制度の堅持・拡充などを与党・自由民主党の国会議員に要望した。大会の最後には下村博文内閣官房副長官に同趣旨の決議文を手渡した。下村副長官は安倍総理に決議文を直接手渡すことを約束した。

 この「私学振興全国大会」は、私立高校等の私学団体が年末の来年度政府予算案編成に向け、文部科学省の私学関係概算要求の満額実現等を自民党議員に要望しているもの。今年は日本私立中学高等学校連合会のほか、日本私立小学校連合会(平野吉三会長=啓明学園理事長)、日本私立小学校中学校高等学校保護者会連合会(稲田昌広会長)が主催団体となった。
 この日は自民党税制調査会の会合等が同じ時間帯に予定されていたため議員の出席が危ぶまれたが、大会には五人の文部大臣・文部科学大臣経験者を含め衆参両院の国会議員本人三十九人と代理四十一人が出席した。
 この中で、主催者のうち私立学校を代表して挨拶に立った田村会長は、私学振興を盛り込んだ新しい教育基本法が成立する時期に、「私学振興全国大会」が開かれたことは大変意義があり、エポックメーキングだとしたうえで、公私立学校がきちっと正しい意味で競争することが子供たちにとって教育がよくなる、非常に大事な方法ではないかと指摘。
 そうした状況を可能とするため、公立学校と私立学校への公費支出額の格差を是正すること、具体的には、文部科学省が平成十九年度予算として概算要求している私立高等学校等経常費助成費等補助金一千六十八億五千万円の満額実現を要請した。
 また主催者のうち保護者を代表して挨拶に立った稲田会長は、「私ども保護者の願いは、経済力や公費負担の格差なしに子供たちが自由に学校を選択できることであり、そのためには公私立学校間での公費支出の格差是正が急務となっている」としたうえで、私立学校に対する国庫補助の充実を要望した。
 さらに東京都の保護者団体の青木伸子会長が同趣旨の「保護者の願い」を読み上げ、その場で吉村剛太郎・文部科学部会長に手渡した。
 こうした私学側の要請に対して元文部科学大臣の河村建夫・政調会長代理(文教制度調査会長)は、「教育基本法の中に私学教育ということが新たに第八条として設けられた。私学教育が教育において重要な役割を果たしていることを十分に考えて、国と地方公共団体は、私学の持つ自主性を尊重しつつ、助成または適当な方法によって私学振興に努めなければならない、とうたってある。その成立を待って新しい予算編成をするわけだから、この法律の趣旨にのっとってきちんとした制度がまず重要だろうと思う」と指摘、地方交付税の増額を含めて新しい教育基本法成立にふさわしい私学振興予算の必要性を強調、そのための努力を約束した。また大島理森・文教制度調査会顧問・元文部大臣は、「理念は基本法の中に、明確に私立学校の重要性を位置づけさせて頂いた。理念から現実に至った時は、なんといっても財政措置が最大の課題になる。私どもは私学の建学の精神に基づいて、毎日、先生方が子供たちと向き合っている姿を改めて評価をしている」とし、来年度の予算編成において全力を尽くしていく考えを強調した。

下村官房副長官決議は総理に直接手渡す

 このほか西川公也・明日の私学を考える会代表・衆議院議員は、「昨年も私立大学と私立高等学校等補助金は折衝して切られた予算の復活をし、昨年度以上に今年度の予算を確保することができたが、今度もまた難しい。なんとしても守るよう、しっかり頑張りたい」と、吉村剛太郎・文部科学部会長は、「今日、公の教育現場もずいぶんと様相が変わり、いじめその他、数多くの問題を抱えている。公私、力を合わせて将来の日本を背負う子供たちのために汗を流していきたいと思っている」と語った。そして最後に挨拶した下村・内閣官房副長官は、「本当に色々な問題がある中で、お父さんお母さんは心配の時期だと思う。しっかりと教育において予算に含みを与えて、公私立学校の条件整備が同一化されて、その上での選択の自由があってしかるべきだという、今の説を含め、今まで以上に安倍内閣のもとで、一歩も二歩もこの国の教育が推進されるよう努力を誓い、決議を私から安倍総理に直接渡すことをお誓いしたい」と語った。

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