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記事2006年2月13日 2012号 (8面) 
ユニーク教育 (152) ―― 熊本信愛女学院中学・高等学校
社会に貢献する女性の育成
カンボジアとの友好の懸け橋へ
 熊本市の中心地に位置する熊本信愛女学院は明治三十三年、フランスに本部を置くカトリックの「ショファイユの幼きイエズス修道会」を設立母体として、シスターフランソワ・ドゥ・ボルジアによって設立された。以来、その建学の精神「愛と奉仕」は熊本信愛女学院中学・高等学校(二平京子校長)に脈々と受け継がれている。
 「愛と奉仕」の精神は、「女性としての豊かな心をもって社会の建設に貢献する人間の育成」、さらには「国際化時代の社会に貢献する女性の育成」という大きな目標としてとらえられるようになった。それは具体的には国際ボランティア活動という形になって表れている。
 同校は以前からアフリカのチャドへの支援活動(バザーでの収益金の送金、文房具類、衣類などを送る)や、フィリピン精神里子への支援活動など、多くの海外ボランティア活動を実施している。中でも最近カンボジアを中心としたボランティア活動に力をそそいでいる。
 カンボジアへの支援活動が始まったのは二〇〇三年だった。カンボジアへのボランティア活動には、最も厳しい生活をしている人々に支援の手を差し伸べることにより、現在のさまざまな社会問題を考え、その解決の糸口を探させるとともに、恵まれない人々と手を携えて幸せを求めていく姿勢を築き上げていこうという目的がある。
 昨年一月は冬休みを利用して生徒五人が訪問、五月にはゴールデンウイークを利用して生徒三人が訪問、七月には夏休みを利用して生徒三人が訪問。生徒たちは年間を通じて、ボランティア活動に汗を流した。
 具体的な活動は、識字教育の手伝い、洗髪・身体洗い・けがの手当てなどの衛生教育、米以外のバランスを考えた食事指導、集落の人口や家族の名簿作りの手伝いのための家庭訪問などに及んだ。
 昨年十月三十日、同校が取り組んできた国際ボランティア活動の一環として、文部科学省に指定された教育改革推進モデル事業の発表・報告会を同校の信愛アリーナで行った。この日、駐日カンボジア王国特命全権大使プー・ソティレアッ閣下を招き、カンボジアでのボランティア活動を発表・報告した。カンボジア舞踊「アプサラダンス」の披露、聖フランシスコ高校生を交えてのパネルディスカッションなどが行われ、生徒たちは掛け替えのない体験をした。
 また、昨年十月二十二日に行われた文化祭、華秋祭では、カンボジアから聖フランシスコ高校生十人を迎え楽しく交流した。テーマは「国境の壁をぶちこわせ!」だった。
 生徒はカンボジアボランティア活動を通して多くのことを学び、カンボジアの子供たちの生き生きとした明るさを感じ取った。
 「本当の幸せとは何か」「ボランティア活動とは何だろう」「忘れられない体験を十代でできたことは一生の宝」「自分には何ができるのだろう」「カンボジアの子供たちの忘れられない目の輝き」「生きることの素晴らしさ」(『愛・そしてカンボジア』の卒業生・在校生の感想の中から)――。
 少しでも支えになりたいと考え、専門的な知識と技術を修得するために看護士を目指している卒業生もいる。日本とカンボジア両国の友好の懸け橋となる日がきっと来るにちがいない。

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