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記事2006年2月13日 2012号 (3面) 
中央教育審議会の審議動向
小学校での英語意見続出 学校週5日制の堅持を強調
【教育課程部会】
 学習指導要領の見直しなどについて議論している中央教育審議会教育課程部会(部会長=木村孟・独立行政法人大学評価・学位授与機構長)は一月三十一日、都内で会合を開いた。委員らは審議経過報告の素案たたき台をもとに議論を展開、特に小学校からの英語教育の是非についての意見が相次いだ。
 たたき台は大きく三本の柱立てで、まず「教育をめぐる検討課題」で学校教育の現状と課題や子供の学力、心と体、社会の変化などを説明。次に「『人間力』の育成」として、確かな学力の育成や子供の社会的自立の推進、そして心と体の育成のほか、国語、理数、外国語教育、総合的な学習の時間(総合学習)、学校週五日制の下での学習機会の拡充について示している。最後に「学校教育の質の保証」で学習指導要領における到達目標の明確化を盛り込んだ。
 特に五日制については、「国の仕組みとしてこれを維持すべきとの意見が大勢であった」と、制度堅持を強調。授業時間の見直しについては「児童生徒や学校の実態、社会の要請等を十分把握しつつ専門的・実証的に検討を行う必要がある」などにとどまり、具体的な明言を避けている。
 今回の学習指導要領の見直しで特徴的なのは、小学校での英語教育について触れられていることだ。だが教科として導入するといった具体的な内容までは現段階では踏み込んでいない。
 現在、小学校における英語活動は総合学習で小学校の約九割が実施している。たたき台は内容として@英語のスキルをより重視する考え方A国際コミュニケーションをより重視する考え方――の二つが示されており、「いずれを重視し、どのように組み合わせていくかによって、具体的な教育目標や内容が設定されることになる」という。
 会合では小学校からの英語教育について多くの意見が出された。「遅かれ早かれ踏切らざるを得ないのではないのか。現場はそう考えている教員が多い」(深谷孟延・愛知県東海市教育長)、「英語、プラスアルファの二カ国語時代に入ってきている。具体的な議論をしなければ中教審の役割を果たせないので大胆に踏み込んでいってほしい」(渡久山長輝・財団法人全国退職教職員生きがい支援協会理事長)、「子供の方が(英語と日本語に)隔たりなく接している。スキル、コミュニケーションの両方に接することが出来る工夫をしてほしい」(佐々木かをり・潟Cー・ウーマン代表取締役社長)、「コミュニケーションという手段でもよいから、もうそろそろ踏み切って改訂した方がよいのでは。英語を使い海外の文化理解を深めることにより、日本の伝統文化の意識を高めることもできる」(田村哲夫・渋谷教育学園理事長)、「まずビデオなどを使って正しい発音を学ばせ『耳を作ってやる』ことで、上に(校種が)上がるにつれ良くなっていく」(浅利慶太・劇団四季代表)など、おおむね賛成とする意見が目立った。
 だが「英語が話せることが国際化なのか。英語を学ぶことと国際理解を学ぶということは大きな隔たりがある」(小説家・阿刀田高氏)、「目的がはっきりしない中で導入されることが先行されている。研修など大きなウエートを占めることになる」(角田元良・聖徳大学附属小学校長)とする導入に慎重な意見も根強い。
 中教審教育課程部会の外国語専門部会主査も務める中嶋嶺雄・国際教養大学長は「中途半端な中でやると弊害が起きる。教科でやるのか、領域でやるのか、何時間やるのか議論していかなければならない」と話している。

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