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記事2006年7月23日 2031号 (2面) 
中央教育審議会の審議動向
私学助成の根拠明確に
学校法人の審査評価で清成法政大学学事顧問発表
【大学分科会制度部会】
 中央教育審議会大学分科会制度部会(部会長=安西祐一郎・慶應義塾長)は七月十二日、都内で会合を開いた。経営面の審査・評価等の現状と課題について清成忠男・法政大学学事顧問、黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長が意見発表を行った。
 日本私立学校振興・共済事業団の設置した学校法人活性化・再生研究会で座長も務める清成学事顧問は、今月七日に発表した学校法人における経営困難・破たんへの対応の中間報告を中心に発表した。清成学事顧問は、公共性に基づく私学助成の根拠をもう一度明確にする必要性を強調した。公共性の向上とは、教育・研究の成果を社会全体に及ぼし、社会的人材が蓄積されることなどから税の優遇措置を受けられると指摘した。清成学事顧問は、執行役員制や意思決定をどのようにするかなど、私立学校法を改正する場合も、最終責任は大学ガバナンスの法的保証が必要と訴えた。「大きな大学は組織がしっかりしているから動いているが、大学ガバナンスについての意識のない理事長が非常に多くバラツキがある」とも述べた。
 同研究会の中間まとめでは学校法人の経営状態で、「イエローカード」「レッドカード」などの段階を踏まえ、危機の認識を促すことも盛り込まれている。マスコミからは「イエローカード」の状態の学校法人は、校名を公表するべきとの意見も寄せられているという。
 質疑では「法人自身が客観的に判断できるものなのか」「政府、私学団体が『退場』をいつ言うのか」などの意見があった。
 一方、黒田総長は(1)学校法人の自己改革と健全化、監事の機能強化(2)自己点検・評価と第三者評価のルーチン化、結果の公表(3)学校法人の財務状況の開示と事業報告書作成の義務化(4)経営困難学校法人への対応施策と学校法人運営調査制度の役割強化――などを示し、「私立学校法の改正も必要となってくる」と強調した。
 黒田総長も「退場する仕組みを作ることは重要」と話した。

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