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記事2007年1月3日 2053号 (8面) 
ユニーク教育 (168) ―― 智辯学園和歌山中学・高等学校
小中高12年の一貫教育
進学、スポーツに大きな成果



 学校法人智辯学園(藤田照清理事長、奈良県五條市)は、小学校から中学・高等学校までの小中高十二年一貫教育を目指している。同学園は、奈良県に智辯学園中学高等学校と奈良カレッジの二校と、和歌山県に一校をもつ。智辯学園和歌山小学校現五年生が十二年一貫教育の第一期生で、智辯学園和歌山中学高等学校(藤田清司校長)に進学する。
 「本校は進学校ですから、どのような小中高一貫教育が誕生するのか楽しみです」と、宮口祐司・高校教頭は期待に胸を膨らませている。
 同校は「心身ともに健康で、使命感を持つ、誠実な人間の育成」を目標に掲げ、昭和五十三年に開校されたが現在、進学・スポーツ両面で確実に実績を積んでいる。
 中学・高校を三期に分け、一期(中学一・二年)を基礎力養成課程、二期(中学三・高校一年)を実力養成課程、三期(高校二・三年)を応用力養成課程――とし、生徒の可能性を最大限に引き出し、どのような大学の入学試験にも対応できるようにカリキュラムを編成している。
 同校の特徴として、七十分授業(一日五校時または六校時)と、休みが少ないことが挙げられる。土曜日は第二土曜日のみ休みで、他の土曜日は四校時(〜二時十五分)まで授業を行っている。しかも、夏休みは、八月中旬の約二週間である。時間を充分かけて丁寧に教え、総合的な思考力と創造力を養うことが、本校の方針だからだ。
 中高一貫コースのほかに三つのコースがある。「編入コースは公立中学の課程を終えた生徒が中高一貫コースに合流するためのものです。編入生は一年でほぼ二年分の教科内容を学習しますから、最初の一年間は相当量の授業時間数をとることとなります」(宮口教頭)。そのため、同コースでは、入学前に、課題提示や英語・数学・国語の補講(三月末)を実施している。その成果は難関大学への進学実績となって現れている。
 スポーツコースは、野球に対して高い技術と情熱を有する生徒が、さらにレベルアップを図り、甲子園を目指すために設定されたものだ。智辯学園といえば、甲子園出場の常連校として知られているが、この十年間で春・夏合わせて、優勝三回、準優勝三回と、目覚しい成績を残している。
 「このコースは一学年十人、三学年で合計三十人と、少数精鋭で構成しています。甲子園で目標を持って最後まであきらめずに頑張っている姿を見ると励まされます。甲子園に応援に行く約千二百人の生徒たちは、みんな大きな感動に満たされています。一生懸命に応援する生徒たちを見ていると、愛校心や学校に対する誇りが根底にあるからだと思います」と宮口教頭。
 また、同校は海外の学校との交流を深め、国際的視野で幅広く物事を考えることができる人材育成を教育の柱の一つにすえている。その中心的役割を担うコースがINC(International Course)だ。二年次の十一月中旬から約三週間、オーストラリア・メルボルンにある、姉妹提携校のセント・レナーズカレッジに研修留学している。
 同校は情感をはぐくむ教育≠重視しており、「宗教」を必修とし宗教的情操も養っている。勉強に、運動に最大限の能力を発揮できるのは、この精神的な支えがあるからだといえる。



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