こちらから紙面PDFをご覧いただけます。



全私学新聞

TOP >> バックナンバー一覧 >> 2007年10月13日号二ュース >> VIEW

記事2007年10月13日 2079号 (2面) 
私大協会 シニア世代受け入れ推進
大学が学び直し機会構築
団塊の世代などシニア世代の大学入学を推進する「シニア世代の受け入れ推進に関する研究協議会」が九月二十七日、東京・千代田区の私学会館で開かれた。日本私立大学協会(大沼淳会長=文化女子大学理事長・学長)の主催で、九十七大学から百二十一人が参加した。入学者の多数を占めてきた十八歳人口が減少し、「大学全入」時代といわれるなか、大量退職を迎える団塊世代などを新たなターゲットとして、大学に積極的に受け入れる方策について協議した。
 同協会副会長の黒田壽二・金沢工業大学学園長・総長は「知の時代といわれる現代を乗り切る社会人の養成として、各大学が学び直しの機会をどう構築していくか期待されている。生涯学習社会に対応した二十一世紀の大学の姿を、各大学で構築していただきたい」とあいさつした。
 特別入試や学費減免制度を設け、シニア世代の受け入れに積極的に取り組んでいる広島大学と長崎ウエスレヤン大学から事例報告が行われた。
 広島大学は二〇〇一年に、全国で初めて、シニア世代を正規学部生として受け入れる「フェニックス入学制度」を導入。現在、国立大学としては唯一、六学部・八大学院研究科で、五十歳または六十歳以上に限定したAO入試を行っている。
 杉原敏彦・入学センター長は「〇七年度は志願者が前年の三倍近くに増え、説明会も盛況だった。ここ一年で制度への関心が一気に高まっている」と、団塊世代の退職に伴い潜在的な需要が増加していることを指摘。シニア学生の特徴として、純粋な学習志向が強く、学んだことを社会へ還元したいという活動志向も強い、と分析した。
 前身の短期大学時代からシニア世代を受け入れている長崎ウエスレヤン大学からは、地方の小規模私立大学としての取り組みが報告された。六十歳以上を対象とした「シニアスチューデント入試制度」は当初、定員割れ対策として開始。入学者は全員が近隣在住で、短大に十四人、大学に九人を受け入れてきた。〇六年から、五十歳代を対象に「ブロンズスチューデント」の募集も始めた。
 南慎郎・企画広報課企画課長は「入学者には、『大学生』という醍醐味(だいごみ)を味わってほしい。地方の小規模大学だからこそシニアに訴えかけられるものがあるはずだ」と話した。
記事の著作権はすべて一般社団法人全私学新聞に帰属します。
無断での記事の転載、転用を禁じます。
一般社団法人全私学新聞 〒102-0074 東京都千代田区九段南 2-4-9 第三早川屋ビル4階/TEL 03-3265-7551
Copyright(C) 一般社団法人全私学新聞