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記事2007年10月13日 2079号 (1面) 
免許更新制運用で検討経過案
更新講習修了認定は試験結果で
60点未満は「不認定」
中央教育審議会の教員養成部会に新たに設けられた「教員免許更新制等ワーキンググループ」(主査=山極隆・玉川大学学術研究所教授)の初会合が十月三日、都内で開かれた。このWGは教員養成部会の委託を受けて、平成二十一年度から実施の免許更新制に関して更新講習の在り方や更新講習の受講対象者、免除対象者等について検討するための作業部会。
 初会合では、文部科学省から中教審でのこれまでの論議や先の通常国会での教育職員免許法等の改正を巡る文部科学大臣答弁等の内容から更新講習の在り方等をまとめた「教員免許更新制の運用についての検討経過案」が提示された。まだ議論の途中で流動的な部分も少なくないが、現時点で提示されている内容によると、制度導入後に授与される免許状(新免許状)には十年の有効期限が定められ、更新するためには更新講習の課程の修了が必要。また制度導入前に取得された免許状(旧免許状)の所有者についても十年ごとに定められた修了確認期限までに講習を受講し、免許管理者による更新講習確認を受けなければならない。
 教員免許更新制が開始される平成二十一年四月から二年後の平成二十三年三月三十一日が最初の修了期限で、平成二十三年三月三十一日の時点で満三十五歳、四十五歳、五十五歳の教員等が該当者となる。次年度以降も同様。修了確認期限までに免許状を受けて十年に満たない者は期限の延期が可能で、そのほか産休中、育休中、大学院で専修免許状を取得するための課程に在籍しているなどの場合は免許状の有効期限の延長又は修了確認期限の延期ができる。
 更新講習の内容に関しては、(1)「教育の最新事情に関する事項」(教職についての省察、子どもの変化についての理解、教育政策の動向についての理解、学校の内外での連携協力の重要性についての理解に関して十二時間の講習)と、(2)学校種・教科種等に応じた内容を取り扱う「教科指導、生徒指導その他教育内容の充実に関する事項」(十八時間の講習)の二本立て。
 講習の課程の修了認定(課程の一部の修了認定を含む)は、講習の開設者(大学、財団法人日本私学教育研究所等さまざまな開設者が見込まれている)が筆記試験等により行う。修了認定試験に要する時間は三十時間に含めることもできる。複数の開設者の講習を合わせて三十時間の講習を修了することも可能。日本私学教育研究所も大学と組んで講習開設の準備を進めている。大学連合での講習開設も考えられる。
 講習を受講し、修了すべき期間は、免許状の有効期間が満了する日または修了確認期限までの二年二か月とする。更新講習修了確認等の申請は、修了確認期限等の二か月前までに免許管理者に行わなければならない。また複数の教諭免許状を有する者であっても三十時間の講習を修了すれば、すべての免許状の有効期限等が更新される。
 講習の開設者が行う試験の結果、六十点以上に達しない場合は、免許の更新はできず、二年間のうちに何度受験しても合格できない場合は教員免許状が失効する。
 講習の費用負担については、国が一定程度の負担軽減措置を行う見通しで、全額国の負担は難しい情勢。負担軽減策は平成二十一年度の概算要求に盛り込まれる。インターネットによる講習の配信や出張講習などは課題。また更新講習は授業への影響があまり出ないよう長期休業中に行われ、年三回程度開かれる見通し。
 更新講習に関しては、受講が免除される者が設けられる。現時点では優秀教員の表彰を受けた者(ただし十年以内に受けた表彰に限る)、校長、副校長、教頭、主幹教諭、指導教諭などが挙げられているが、なお流動的だ。
 十月五日に行われた教員養成部会でも費用負担や講習の開設者、免除対象者などを巡ってさまざまな意見が出されている。WGでは私学団体を含めて関係団体から書面で意見を聴取、更に検討を進め、教員養成部会では年末までに報告をまとめる予定。教員免許更新制運用の詳細は来年三月に省令として定められ、二十年度に試行される。

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