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記事2007年2月3日 2055号 (2面) 
専門職大学院支援策で論議
中央教育審議会の審議動向 【大学院部会】
教員組織、分野別評価 大学院の諸課題や学位授与検討
 中央教育審議会大学院部会(部会長=中嶋嶺雄・国際教養大学理事長・学長)は一月十八日、都内で会合を開いた。専門職大学院の諸課題や、博士学位授与の状況について議論した。
 専門職大学院は平成十五年度の制度の発足から三年程度経過し、百四十九専攻(平成十九年四月設置予定を含む)が設置された。今後の検討課題として、(1)専門職大学院の人材養成目的に基づく教育の実質化のための推進方策(2)教員組織の在り方(3)専門分野別評価の在り方(4)専門職大学院(組織および学生)に対する支援の在り方―などを挙げている。専門職大学院のフォローアップ調査としては、定員の「充足状況」「在学生の属性」「修了者の状況」「教員組織」「教育課程等」「施設・環境」などを指摘。特に教員組織については専任教員の実務家教員比率、教員の実務家教員比率、専任教員の学位取得状況、専任教員の年齢構成、専任教員一人当たりの担当授業単位数、「FD」の実施状況など、専任教員について詳しく調査することとしている。
 会合では伊藤文雄・青山学院大学大学院国際マネジメント研究科長は「専門職大学院はガバナンスの問題がある。機動力を発揮し、独立性、自立性がないといけない」などと話した。
 一方で「大学院教育振興施策要綱」に関する取り組みの調査結果についても報告があった。博士の学位授与の状況は多くの研究科において、学位の年間複数回申請の仕組みの整備(六四・五%)、複数の教員による論文指導体制の構築(六〇・五%)、留学生に英語等による論文作成を認める(五九・七%)、中間発表の実施(五八・六%)などの取り組みを実施しており、各大学院は積極的に学位授与の円滑化に取り組んでいることを示している。
 標準修業年限内に学位が授与された割合(五年一貫制・五年間、医歯獣医学・四年間、区分制(後期)・三年間のうちに、学位を授与された者の割合を調査)の調査を行ったところ、平成十七年度の学位授与率は四二・七%となっており、保健、農学、工学分野では五〇%を超えているが、人文科学、社会科学分野は二〇%以上となっており、分野により授与率が大きく異なっている。
 委員からは人文系の授与率が低いことについては、学問の性格上、取得に時間がかかるなどの意見が複数挙がっていた。
 天野郁夫・国立大学財務・経営センター研究部長は「借金をしてでも大学院に行きなさいというのと、博士課程を取っても就職できない状況がある」などと話し、学生支援の充実と、社会の受け皿づくりの必要性を指摘している。

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