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記事2007年2月3日 2055号 (1面) 
関連3法案国会へ 5月に2次、12月に3次報告
教育再生会議が第1次報告
授業時数10%増 特別免許採用の2割に

野依座長

教育再生会議(野依良治座長=独立行政法人理化学研究所理事長)は一月二十四日の総会で第一次報告「社会総がかりで教育再生を〜公教育再生への第一歩」をまとめ、安倍晋三総理大臣に提出した。「ゆとり教育」を見直し、学力を向上させることや教育委員会のあり方を抜本的に見直すなど七つの提言と、いじめ問題対策など四つの緊急対応が柱。総理は、開会中の通常国会に教育職員免許法、地方教育行政法、学校教育法の各改正案を提出し、内閣を挙げ教育再生に取り組む意向だ。

 今回の七つの提言のうち、学力向上に関しては、学習指導要領を早期に見直し、授業時数の一〇%増加、薄すぎる教科書の改善、習熟度別指導の拡充などを、規律ある教室づくりでは、教員が毅然とした指導ができるよう、学校の指導や懲戒について昭和二十年代の「体罰の範囲等について」など関連する通知等を十八年度中に見直す、としている。
 また規範意識の育成では大学の秋季入学を普及促進し、入学前の半年間に奉仕活動等を行わせること、魅力的で尊敬できる教員づくりでは、優れた人材を社会から広く募集するため特別免許状授与数を今後五年間で採用数の二割程度(ボトムライン)にまで引き上げるなどの目標を設定して教育委員会に努力を求めている。同時にメリハリのある給与体系、実効ある教員評価、指導力不足教員の認定や分限の厳格化が必要としている。
 文部科学省内でも検討を進めていた教員免許更新制の導入に関しては、同省の中央教育審議会が提言した十年ごとに三十時間の講習受講のみで更新するのではなく、厳格な修了認定(教員の実績や外部評価も勘案)とともに、分限制度の活用により、不適格教員に厳しく対応(指導力不足と認定されている教員については、更新講習ではなく指導力を上げるための研修を優先的に行い、改善が図られない教員は分限制度を活用し、教員免許状を取り上げる)を提言している。保護者等の信頼に応える学校については、副校長、主幹等の新設などで学校の責任体制を確立し、校長を中心に教育に責任を持つこと、教育委員会に関しては、第三者評価機関による教育委員会の外部評価制度を導入することなどを求めている。
 今回の報告は、公立学校の再生に焦点を絞った内容だが、同会議は今後、学習指導要領の基本的なあり方や学校週五日制の見直し、教育委員会と首長との関係、私学行政のあり方、世界最高水準の高等教育の実現、バウチャー制度などの検討を進め、五月を目途に第二次報告を、十二月までに第三次報告をまとめる予定。改正教育基本法成立で今後、策定される国の「教育振興基本計画」については、中央教育審議会とともに、教育再生会議も検討を行うことになる。このうち私学行政のあり方については、教育課程を含め私立学校に対する監督の強化が検討される可能性がある。

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