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記事2007年5月23日 2065号 (2面) 
教育振興基本計画を議論
数値目標の設定では賛否
【大学分科会】
 第四期中央教育審議会大学分科会(分科会長=安西祐一郎・慶應義塾長)の第三回目の会議が、四月十九日、東京・港区の三田共用会議所で開催され、教育振興基本計画について、意見発表などが行われた。
 教育振興基本計画について、文部科学省からタタキ台が提示された。また、金子元久委員(東京大学大学院教育学研究科長)からは四月九日の教育振興基本計画特別部会の資料「教育振興計画についての論点―高等教育を中心に」の説明が行われ、「基本的なテーマは、二十一世紀型の高等教育への構造転換(大学教育質的転換、成人の学習機会、国際的な流動性)と、高等教育への社会的な投資である。既に米国では民間投資として学生ローンを導入している。欧州も高等教育の大衆化路線を取りはじめており、米国はさらなる大衆化へ向けアクションプランを出している。また、拠点大学の整備についても、中国、韓国を含め先進諸国はいずれも拠点大学の整備を進めている」などと説明した。
 他の委員からは「教育振興基本計画の中に五年間の教育予算の目標額を入れることが大切だ」「GDPに占める高等教育の支出を他国と比べて見ると、恥ずかしい状況が続いている。これを是正せずに日本の大学が国際競争力がないというのは問題だ」「教育と研究の切りわけが言われているが、分けなければいけない部分と分けられない部分がある。研究の中で得られた新しい知識を学問として体系化して伝達していくことが必要だ。質的保証については、多様化は各大学で取り組むが、共通部分については国際的に通用するよう取り組む。その場合、単に欧米型にするのではなく、日本がリードしてアジア圏で標準化を行い、欧米の標準とすり合わせるべきだ」「教育振興基本計画で、あまりきめ細かな数値目標を設定するのは、規制強化になって教育をますます駄目にするのではないか」「規制緩和は大学を混乱させた。これを立て直すには数値目標は必要だ」「大学の現場は、新しい時代に向けて、質の転換をしつつある。ただ、それは緩やかであり、それは日本の高等教育が成熟しているからだ。各大学が基盤をしっかり築く一方で、日本全体として国際競争力を出していく、そのためには数値目標を出していくことが必要。また、だれがこの目標に取り組むのか、明確にしていただきたい」「問題解決型、ディベート型の教育をしていかないと国際競争力がつかない。教育は投資だが、国家安定の大切な基盤。国民の理解が必要だ」「最先端の研究を高等教育に反映させていくこと、質の確保に留意した目標とすることだ」などの意見が出た。これに対して文部科学省からは、教育振興基本計画は誘導策としての施策である、盛り込む施策は文部科学省のやるべきことを書く、質保証については最低限の基準は必要と考えている、などと答えた。
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