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全私学新聞

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記事2007年8月13日 2074号 (1面) 
平成20年度私学関係政府予算と税制改正 全私学連合要望まとめる
1%削減枠突破を
国公私立間の格差解消が焦点
基盤的経費への支援重要
全私学連合(安西祐一郎代表=慶應義塾長)は、八月七日、都内のホテルで代表者会議を開き、平成二十年度政府予算に向けた私立学校関係予算要望と税制改正要望を決めた。同日、自由民主党の文教関係国会議員に私学関係予算の拡充等を要請、翌八日には文部科学省の遠藤利明副大臣、銭谷眞美事務次官らに、国公私立学校間の格差是正や地域振興に不可欠な大学等への支援充実等を訴えた。私学助成費について政府は来年度も前年度比一%削減の基本方針だが、先の参議院選挙でも中央と地方との格差問題等が重要視されたことや、教育基本法が改正されたことなどから、格差解消に政府はどれだけ本腰を入れるかが焦点となりそうだ。

 八月八日の文部科学省への要望には、安西代表のほか、日本私立大学団体連合会の大沼淳副会長、日本私立短期大学協会の川並弘昭会長、日本私立中学高等学校連合会の田村哲夫会長と吉田晋副会長、日本私立小学校連合会の平野吉三会長、全日本私立幼稚園連合会の清水博雅副会長と藤本明弘政策委員長、関係団体として日本私立学校振興・共済事業団の鳥居泰彦理事長らが出席した。
 この中で安西代表は、昨年、政府が決めた十九年度から五年間の私学助成の一%削減の方針から逸脱しにくいだろうが、何とか削減枠を突破してほしい、基盤的経費(への支援)もおろそかにしないでほしいなどと要請。川並会長は、短大については教育を評価して基盤経費への支援充実を、田村会長は日本社会の質を上げるには教育(の充実)しかないこと、国が私立学校を応援している姿勢が私立学校教育で大きな効果を生むことなどを強調した。平野会長は資源を持たない日本では人が財産であり、教育予算の突出が必要なことを訴えた。一方、同省からは、「(私学助成の増額は)簡単ではない」という声も聞かれたが、昨年の「骨太の方針二〇〇六」以降の状況変化や、概算要求基準で教育再生に関する特別枠が設けられることも踏まえて、私学助成の充実に頑張るとの意向が明らかにされた。遠藤副大臣は、参議院の選挙結果から、地方では置き去り感が強く、地方でいかに格差が意識されているかが明らかになったことを挙げて、格差是正の必要性を指摘した。
 このほか、安西代表は、現在、同省の中央教育審議会の「教育振興基本計画」作りの審議がペースダウンしていることを指摘、審議を急ぐよう要請した。教育予算の拡充の前に教育再生を求める経済界の意向などもあり、審議が遅れがちになっているが、私学関係者からは、教育には大きな問題はないことを証明しなくてはいけない、といった声も聞かれた。
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