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記事2007年8月3日 2073号 (2面) 
高野連の第2回高校野球・特待生問題有識者会議
特別奨学生制度 社会的妥当な範囲で
日私中高連常任理事会で申し合わせ田村会長報告
高野連田名部参 事が4月の通達で謝罪

田名部参事

財団法人日本高等学校野球連盟の田名部和裕参事は七月二十六日、都内のホテルで開かれた「第二回高校野球・特待生問題有識者会議」の中で、同連盟が四月二十日に発出した通達に、特待生制度を理由に高校の野球部責任教師に引責辞任を求めるとも受け取れる表現があったことを不適切だったとして謝罪した。

 プロ野球西武球団の裏金問題から同連盟が加盟校における特待生制度の実態調査と指導措置を打ち出した四月二十日の通達では、私立高校からは、校長の人事権にも介入するのかなどと強い反発の声が上がったほか、特待生制度を申告した高校が全国で四百校近くに、また該当する高校野球部員は約八千人にも及び、社会的に大きな反響を呼び、教育現場では生徒に大きな動揺と混乱が広がった。
 同連盟では「野球部責任教師を退任させ」、「野球部責任教師の責任は免れず、引責辞任とし」との表現を使ったことは、謹慎という正確な用語からの逸脱であり、かつ教師としての退任、辞任と誤って理解される表現だったという点でも不適切だったとして謝罪の意向を明らかにした。また同連盟が加盟校に連絡する文書を通達としていることについても検討が必要なことを明らかにした。有識者会議委員から「加盟校は命令を聞く存在と考えているのか」との批判を受けていた。
 第二回有識者会議には、初の出席となったスポーツキャスターの栗山英樹氏と北村聡・京都外大西高校長を含め、十三人の委員が出席した。初めに特待生制度についての見解を述べた北村校長は、「行き過ぎたものについてはペナルティーも止むを得ないが、私学の責任、良識を信頼してほしい」などと述べ、学生野球憲章十三条の見直し、あるいは運用解釈の変更を求めた。また、この日は日本私立中学高等学校連合会の田村哲夫会長が七月十日の常任理事会で特別奨学生制度について「申し合わせ」をしたことを報告した。
 この申し合わせでは、私立学校が、学業、スポーツ、芸術など自らの特色教育を体現するにふさわしい資質を持つ生徒を対象とする「特別奨学生制度」を設け、それをどう運営するかは、各私立学校の判断であり責任である、とした上で、それぞれの私立学校は特別奨学生制度に関して社会的に妥当な範囲とするよう努めること、その内容を生徒募集要項などで予め公表する方針を明らかにした。
 さらに田村会長は私立高校への公的財政支援額が公立高校の四分の一以下にとどまっている中で、私立高校は公立との厳しい競争にさらされていることなどが特別奨学生制度の誘因となっていることや、公立高校でも後援会が生徒のクラブ活動等を財政面で支援している実態があること、特別奨学生制度は国立大学でも設けられていることなどを説明した。
 会議ではこのほか、中学校におけるスポーツ特待生の実情などが木村俊二・台東区立駒形中学校長と日本中学校体育連盟の太田保・軟式競技部会長から報告された。この中では、一部に中学校の進路指導を通さず、少年野球クラブの監督と高校の監督の間で進路が決まってしまう実態があることなどが報告された。八月二十日の次回会議では少年野球クラブの関係者から特待生問題に関する意見や実態を聴取する。
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